2021年4月 - 2024年3月
ストレス応答欠如による根の伸長阻害を回復した突然変異植物の遺伝子機能解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、三つのnobiro変異系統の原因変異と単離し、その分子生物学的メカニズムを解明することを目標とします。今年度では、①nobiro6の原因変異が転写補因子であるTAF12bの機能欠損であることを明らかにし、その分子メカニズムを究明した研究成果を国際原著論文として誌上発表しました。続いて②nobiro1に対するゲノム再解読を完遂し、原因変異の候補を獲得しました。また③nobiro9の交配分離集団を展開し、ゲノム再解読に必要な材料の準備を進めました。
①転写補因子であるTAF12bの機能に着目し、nobiro6とその親株であるbz1728の網羅的遺伝子発現解析を行いました。その結果、bz1728が示す過剰なストレス応答性遺伝子の発現が、nobiro6では大幅に軽減していることがわかりました。細胞実験系を通して、TAF12が植物の小胞体ストレス応答を助長することを明らかにしました。nobiro6では、bz1728変異により低下した小胞体の恒常性による過剰な小胞体ストレス応答を抑えることで、根の伸長成長への悪影響を軽減したことが示唆されました。
②nobiro1の原因変異の候補として、小胞体に局在する輸送タンパク質上のナンセンス変異が検出されました。
③nobiro9とbz1728間の戻り交配後の分離集団(BC1F2)を確保しました。表現型の分離比から、原因変異は単一劣勢遺伝因子であることが示唆されました。
このように、本研究は当初の研究計画に沿って順調な進捗を示しています。
①転写補因子であるTAF12bの機能に着目し、nobiro6とその親株であるbz1728の網羅的遺伝子発現解析を行いました。その結果、bz1728が示す過剰なストレス応答性遺伝子の発現が、nobiro6では大幅に軽減していることがわかりました。細胞実験系を通して、TAF12が植物の小胞体ストレス応答を助長することを明らかにしました。nobiro6では、bz1728変異により低下した小胞体の恒常性による過剰な小胞体ストレス応答を抑えることで、根の伸長成長への悪影響を軽減したことが示唆されました。
②nobiro1の原因変異の候補として、小胞体に局在する輸送タンパク質上のナンセンス変異が検出されました。
③nobiro9とbz1728間の戻り交配後の分離集団(BC1F2)を確保しました。表現型の分離比から、原因変異は単一劣勢遺伝因子であることが示唆されました。
このように、本研究は当初の研究計画に沿って順調な進捗を示しています。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K05524
- 体系的課題番号 : JP21K05524
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
Plants 2022年11月22日 査読有り招待有り筆頭著者責任著者
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Proceedings of the National Academy of Sciences 119(6) e2120219119-e2120219119 2022年2月8日 査読有り筆頭著者責任著者
メディア報道
5-
Scholary Community Encyclopedia 2022年12月 インターネットメディア
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理化学研究所 クローズアップ科学道 2022年6月 インターネットメディア
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マイナビニュース TECH+ 2022年3月15日 インターネットメディア
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TechCrunch Japan TechCrunch Japan 2022年2月15日 インターネットメディア
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理化学研究所 広報室プレスリリース 2022年2月9日 インターネットメディア