講演・口頭発表等

国際会議
2017年7月

金属ナノ粒子分散による液体ナトリウムの活性度抑制に関する研究

91st American Chemical Society Colloid \&Surface Science Symposium
  • 斉藤 淳一
  • ,
  • 永井 桂一
  • ,
  • 荒 邦章

記述言語
英語
会議種別

金属ナトリウムは優れた伝熱流動性を有している。そのため、高速炉の冷却材として利用されている。しかしながら、液体金属ナトリウムはアルカリ金属の一種であり、酸素や水との化学的活性度が著しく高いことが知られている。これは液体ナトリウム冷却材の唯一の弱点である。そこで、本研究では液体ナトリウム自身の化学的活性度を抑制する技術を開発した。そのアイデアは液体ナトリウム中に金属ナノ粒子を分散し、金属ナノ粒子とナトリウム原子の原子間相互作用を利用するものである。このように分散している粒子と溶媒の原子間相互作用を利用した研究はほとんどない。特に液体金属を溶媒としたこのような研究はない。液体ナトリウム中にナノ粒子を分散することにより、ナノ粒子とナトリウム原子の強い原子間結合が生じる。また、ナトリウム原子からナノ粒子へ電荷移行が生じることを理論計算により明らかにした。このような原子間相互作用により、凝集エネルギーや反応のプロファイルが変化することも理論的に明らかにした。実際にナノ粒子を分散した液体ナトリウムを製作し、物性を評価したところ原子間相互作用に起因する変化が確認された。さらに原子間相互作用により、ナトリウムの物性が変化し、酸素や水との反応が抑制することが実験的に明らかになった。