2020年11月
日本心理学会学術大会優秀発表賞
日本心理学会
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- タイトル
- バーンアウトするほど「燃えた」のか?:3波のパネルデータを用いた縦断調査
- 受賞区分
- 国内学会・会議・シンポジウム等の賞
- 受賞国・地域
- 日本
バーンアウト(燃え尽き症候群)は,何らかの仕事に打ち込んだ結果生じると一般に理解されている。しかし,精神科病院スタッフを対象とした質問紙調査では過去の仕事に対する情熱のピークと現在のバーンアウト傾向に正の相関は認められていない(井川・中西・志和,2013)。一方,井川ら(2013)の調査は,想起法を用いた検討のため,現在高バーンアウト状態にあるものが過去の自分の情熱を低く見積もってしまう可能性や,測定した情熱の指標が限定されていたという課題が残されている。そこで,本研究においては,Time 1 において根気,一貫性,親和的情熱,脅迫的情熱,活力,没頭,熱意,理想使命感等の情熱の指標を測定し,それらの指標がTime 2 (1年後)とTime 3 (2年後)におけるバーンアウトを予測するかどうかについて検討した。交差遅延モデル及び同時効果モデルを用いた分析の結果,どの情熱指標もバーンアウト傾向を予測せず,むしろバーンアウト傾向が情熱を低下させる因果関係が明らかとなった。以上の結果は,質問紙法を用いた測定方法では,典型的バーンアウトと他の精神的不健康状態が混在して高バーンアウトとして測定されている可能性が高いことを示す。
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