統合失調症や大うつ病の治療で日常的な薬物療法は重要であるとするガイドラインがいくつかあるがpro re nata（PRN）処方に関する報告はほとんどない。本研究の目的は統合失調症および大うつ病の治療において向精神薬のPRN処方を受けている患者の特徴を明らかにすることである。「精神科治療における普及・教育ガイドラインの有効性」（EGUIDE）プロジェクトのデータを用いて退院時の向精神薬PRN処方率を評価した。統合失調症2617名では29.9％、大うつ病性障害1248名では31.1％であった。統合失調症では65歳以上で21.6％であり他の年齢層より低かった。大うつ病性障害では女性患者で34.2％であり男性患者より高かった。統合失調症では向精神薬のPRN処方と複数の向精神薬の常用との間に関連性がみられた。エビデンスを蓄積し、適切なPRN処方に関する教育を行うためにさらなる研究が必要である。