MISC

2014年9月

大動脈弁下膿瘍の診断にMDCTが有用であった感染性心内膜炎の一例

新潟市民病院医誌
  • 蛭間 弘光
  • 尾崎 和幸
  • 菊池 千鶴男
  • 中澤 聡
  • 大久保 健志
  • 矢野 利明
  • 保坂 幸男
  • 土田 圭一
  • 高橋 和義
  • 三井田 努
  • 小田 弘隆
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35
1
開始ページ
38
終了ページ
43
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟市民病院

症例は40歳代男性。3年前から心拡大、心電図異常を指摘されていた。2ヵ月間持続する発熱を主訴に前医を初診し、血液検査で炎症所見を認め、抗菌薬を投与したが解熱しなかった。心エコーでは高度の大動脈弁逆流、腹部CTで脾梗塞を認め、血液培養でα-streptococcusが検出され、感染性心内膜炎が疑われた。前医初診1ヵ月後、精査加療目的に当科へ入院した。心電図では以前に認めなかったI度房室ブロックを認めた。経胸壁心エコーの再検では、大動脈弁逆流に沿った無冠尖から僧帽弁前尖にかけて肥厚を認めた。経食道心エコーでも明らかな疣腫は認められなかったが、右冠尖、無冠尖の構造変化と中隔内部の低エコースペースを認めた。MDCTでは大動脈弁下に造影される腔を認め、その腔が僧帽弁前尖基部にまで及んでいた。心室中隔へ波及した弁輪部膿瘍と診断し、ペニシリン、ドリペネムで加療した。しかし、感染コントロールが不十分のため、第41病日に外科的感染巣掻爬および大動脈弁置換術を施行し、第74病日に独歩退院した。経食道心エコーでは明らかな疣腫を認めなかったが、心電図、MDCT所見からは中隔に及ぶ大動脈弁下膿瘍の存在が示唆された。本症例ではMDCTを用いることで、膿瘍のより詳細な診断が可能であった。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0389-1453
  • 医中誌Web ID : 2015086724

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