MISC

2009年9月

冠攣縮により2枝同時閉塞を呈したと思われる若年者心筋梗塞の一例

新潟市民病院医誌
  • 永井 秀哉
  • ,
  • 土田 圭一
  • ,
  • 小田 弘隆
  • ,
  • 三井田 努
  • ,
  • 高橋 和義
  • ,
  • 尾崎 和幸
  • ,
  • 岡村 和気
  • ,
  • 小幡 裕明
  • ,
  • 萩谷 健一

30
1
開始ページ
33
終了ページ
37
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟市民病院

運動後に突然の胸痛や冷汗を自覚し、発症約40分後にショック状態で搬送された28歳男性について検討した。意識清明であったが、心電図は異常Q波をV1-4に、ST低下をV3、4に、また、来院20分後にST上昇をII、III、aVFに認めた。緊急冠動脈造影検査(CAG)では、右冠動脈近位部に血栓像を伴う99%狭窄と左前下行枝の近位部の完全閉塞を認めた。2枝に同時に血栓性閉塞を来した急性冠症候群であると考え、2枝に対し冠動脈内血栓吸引/溶解療法を行い、再灌流に成功した。第11病日のCAGはほぼ正常の所見であった。冠動脈内アセチルコリン負荷試験では、左前下行枝近位部と高位側壁枝に完全閉塞を起こす冠攣縮が誘発された。2枝閉塞の機序として、冠攣縮ないしびらんによる内皮傷害と、それに続く血栓形成が考えられた。喫煙と家族歴の冠危険因子があった。発症機序として冠攣縮の関与が考えられた。

ID情報
  • ISSN : 0389-1453
  • 医中誌Web ID : 2010036164

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