2018年4月 - 2021年3月
線維芽細胞の働きを選択的に抑制する分子機構の解明と肺線維症治療への応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
- 課題番号
- 18K06691
- 体系的課題番号
- JP18K06691
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 4,420,000円
- (直接経費)
- 3,400,000円
- (間接経費)
- 1,020,000円
- 資金種別
- 競争的資金
特発性肺線維症 (IPF) は、肺が線維化して呼吸困難を来たす難病であり、診断後の平均生存年数が約3年と非常に短い。そのため、IPFを治療するための新たな
ターゲット分子を発見し、効果が高く、副作用の少ない治療薬を開発する事が重要である。IPFの発症・増悪には、活性酸素などによる肺胞上皮細胞傷害をきっ
かけとした肺線維芽細胞の異常増殖や活性化 (コラーゲン過剰産生など) が大きく関与する。これまでに、既承認薬ライブラリーを用いたスクリーニングを行
い、肺胞上皮細胞に傷害性を示さず、線維芽細胞選択的に細胞死を誘導する化合物(既承認医薬品)を発見している。昨年度の解析から、候補化合物が既存のIPF治療薬であるピルフェニドンやニンテダニブに比べて、IPF動物モデルでの肺線維化や呼吸機能低下を有意に改善することを見出した。そこで、本年度は、副作用に注目した解析を実施した。既存IPF治療薬では、消化不良、下痢、肝機能障害などの副作用が誘発されることが報告されているので、これらの副作用に着目して、既存薬との比較を行った。その結果、ピルフェニドンやニンテダニブで見られた肝臓における副作用が、候補化合物の投与ではほとんど見られなかった。一方、消化器系の副作用については、全ての薬剤でほとんど誘発が見られなかった。in vitroの解析では、候補化合物が線維芽細胞選択的に作用する機構の解析を行った。その結果、候補化合物の同種同効薬では線維芽細胞選択的に作用する現象が見られなかったことから、候補化合物が元々知られている作用とは異なる機構を介して、線維芽細胞選択的に作用している可能性が示唆された。
ターゲット分子を発見し、効果が高く、副作用の少ない治療薬を開発する事が重要である。IPFの発症・増悪には、活性酸素などによる肺胞上皮細胞傷害をきっ
かけとした肺線維芽細胞の異常増殖や活性化 (コラーゲン過剰産生など) が大きく関与する。これまでに、既承認薬ライブラリーを用いたスクリーニングを行
い、肺胞上皮細胞に傷害性を示さず、線維芽細胞選択的に細胞死を誘導する化合物(既承認医薬品)を発見している。昨年度の解析から、候補化合物が既存のIPF治療薬であるピルフェニドンやニンテダニブに比べて、IPF動物モデルでの肺線維化や呼吸機能低下を有意に改善することを見出した。そこで、本年度は、副作用に注目した解析を実施した。既存IPF治療薬では、消化不良、下痢、肝機能障害などの副作用が誘発されることが報告されているので、これらの副作用に着目して、既存薬との比較を行った。その結果、ピルフェニドンやニンテダニブで見られた肝臓における副作用が、候補化合物の投与ではほとんど見られなかった。一方、消化器系の副作用については、全ての薬剤でほとんど誘発が見られなかった。in vitroの解析では、候補化合物が線維芽細胞選択的に作用する機構の解析を行った。その結果、候補化合物の同種同効薬では線維芽細胞選択的に作用する現象が見られなかったことから、候補化合物が元々知られている作用とは異なる機構を介して、線維芽細胞選択的に作用している可能性が示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K06691
- 体系的課題番号 : JP18K06691