論文

査読有り
2017年6月

胸腺細胞の分化におけるスフィンゴミエリン発現とその機能的役割

脂質生化学研究
  • 豊島 かおる
  • ,
  • 永福 正和
  • ,
  • 岡崎 俊郎
  • ,
  • 井ノ口 仁一

59
開始ページ
244
終了ページ
246
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本脂質生化学会

自己免疫疾患の発症原因の1つとなる自己反応性T細胞は、通常、胸腺内の未熟T細胞(胸腺細胞)の"正・負の選択"という分化過程により除去される。したがって正・負の選択の制御機構を解明することは自己免疫疾患の発症メカニズムの解明およびその治療法の開発において重要である。正・負の選択は、T細胞抗原受容体(T cell antigen receptor:TCR)を介した膜シグナル伝達により決定されることから、我々は細胞膜構成脂質の1つであるスフィンゴミエリン(SM)に焦点を当て、T細胞分化過程におけるSM発現の検討および正・負の選択におけるSMの生理的意義を解析した。今回我々は胸腺細胞の一連の分化段階において、SM発現量は厳密に制御されており、なかでも正・負の選択の前後で発現量が大きく増加することを見出した。また、SM合成酵素1欠損マウス(SMS1 KO)と正・負の選択のモデルとなるTCR過剰発現マウスを交配し、正・負の選択におけるSMの機能的役割を解析した。その結果、SMの欠損によりTCRシグナル強度が増強し、TCR依存的な細胞死(負の選択)が亢進したことから、自己反応性T細胞の除去に関わる負の選択において、SMはTCR依存的な細胞死に抑制的に関与することが示唆された。(著者抄録)

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