2021年4月 - 2024年3月
感覚処理感受性に着目した児童の心の健康問題を解決する効果的な自然体験活動の提案
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
近年,児童におけるメンタルヘルス悪化が問題とされており,その有効な解決策の一つとして,自然体験活動に注目が集まっている。しかしながら,その効果には大きな個人差があり,活動の効果を一層高めるための検討を行う必要がある。本研究課題では,自然を含む種々の環境刺激からの影響の受けやすさを表す生得的な特性である,感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity;以下,SPSと略記)の概念に注目し,SPSの程度に応じた効果的な自然体験活動プログラムの提案を行うことを目的としている。
そこで,令和3年度はまず,児童を対象に実施されている既存の自然体験活動プログラムにおいて,SPSの調整効果を検討した。調査対象者は,緑地で実施された日帰りの自然体験活動プログラムの参加者89名(すべて小学校6年生)であった。プログラムの実施前後にメンタルヘルスの関連指標(抑うつ傾向,肯定的・否定的感情,将来に対する希望)を,実施前にSPSの程度を,実施後にプログラム中の体験内容について,質問紙での測定を行った。まず,メンタルヘルス関連指標におけるプログラム実施前後での程度を比較したところ,抑うつ傾向が有意に低下していた。そこで,抑うつ傾向の低下と強く関連を持つプログラムの体験内容について検討したところ,SPSの程度に応じて,その内容は異なることが明らかとなった。この結果は,成人を対象としたSPSの先行研究(e.g., Yano et al., 2021)とも一致するものであり,児童を対象に実施される自然体験活動においても,SPSの個人差を考慮することの意義が確認された。
そこで,令和3年度はまず,児童を対象に実施されている既存の自然体験活動プログラムにおいて,SPSの調整効果を検討した。調査対象者は,緑地で実施された日帰りの自然体験活動プログラムの参加者89名(すべて小学校6年生)であった。プログラムの実施前後にメンタルヘルスの関連指標(抑うつ傾向,肯定的・否定的感情,将来に対する希望)を,実施前にSPSの程度を,実施後にプログラム中の体験内容について,質問紙での測定を行った。まず,メンタルヘルス関連指標におけるプログラム実施前後での程度を比較したところ,抑うつ傾向が有意に低下していた。そこで,抑うつ傾向の低下と強く関連を持つプログラムの体験内容について検討したところ,SPSの程度に応じて,その内容は異なることが明らかとなった。この結果は,成人を対象としたSPSの先行研究(e.g., Yano et al., 2021)とも一致するものであり,児童を対象に実施される自然体験活動においても,SPSの個人差を考慮することの意義が確認された。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K03035
- 体系的課題番号 : JP21K03035