2020年7月 - 2023年3月
加齢性CORT概日リズム低下を介したアルツハイマー病増悪化誘導因子の探索
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
加齢は認知症最大のリスク要因であるが(Hou et al., Nat Rev Neurol, 2019)、加齢に伴う身体的変化は多岐にわたる。そのため認知機能に対する加齢の影響は複雑である。その中で、加齢性変化とライフスタイルとの因果関係が注目を浴びており、内分泌機能に起因するものが多く含まれる。実際、認知症においても内分泌機能異常を引き金とする症例が複数存在し、さらには内分泌機能異常が認知症重篤化の大きな原因にもなっている。一方で内分泌機能異常に伴う認知症は、治療可能な認知機能障害に含まれ、早期診断・治療することで改善が見込まれることが知られており、特に高齢者では診断・治療の遅延が認知症症状を加速してしまうこともあるため(Matsunaga et al., Brain Nerve, 2016)、認知症の初期脳内変化について理解し、内分泌機能との関係性を明らかにすることは重要と考えられる。本研究では、高齢者で見られる内分泌機能変化として、コルチゾール(CORT)分泌の概日リズム異常に着目し、アルツハイマー病態の重篤化メカニズムの解析を行った。これまでに応募者は高CORT血症が、脳老化およびシナプス機能障害を誘導し、認知機能低下を引き起こすことを明らかにしてきた。しかしながら、シナプス機能はCORT概日リズムに即して再構成を繰り返すとされており、加齢によるCORT概日リズム低下が、どのような過程を辿りアミロイドβ(Aβ)と共にシナプス再構成経路を阻害し、最終的に認知機能障害を重篤化させるのか、その詳細な分子メカニズムは十分解明されていない。今後、加齢アルツハイマー病モデル動物を用い、加齢に応じて低下するCORT分泌の概日リズムに着目し、アルツハイマー病態を増悪化するシナプス再構成系と神経細胞・ミクログリア内の日内変動遺伝子群との機能的な相関性の解明を試みる。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K21779
- 体系的課題番号 : JP20K21779
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