共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

アオサ藻綱スジアオノリから見る配偶子の「認識」と「融合」のメカニズム

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K14690
体系的課題番号
JP18K14690
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

有性生殖は真核生物を特徴付ける重要な形質であり、動植物を問わずに進化してきた。動物では配偶子は大きく二形化し、精子と卵による卵生殖がおこなわれる。一方で、植物、特に藻類では同形から異形配偶子接合、卵生殖に至るまで進化の過程の様々なタイプの有性生殖が保存されている。アオサ藻綱に属するスジアオノリはわずかに大きさの異なる異形配偶子接合をおこなう。雌雄の配偶子を混合すると、配偶子は凝集し、鞭毛の先でお互いの性や種を「認識」し、同種の異性であることがわかると瞬時に細胞の「融合」が進む。またスジアオノリには光学顕微鏡下では配偶子と構造的な違いはほとんど見られないが、電子顕微鏡下では雌雄の配偶子に存在している接合装置が欠けた無性型二本鞭毛遊走子を放出する無性個体も存在する。雌雄配偶子および、この無性型二本鞭毛遊走子を微細構造とタンパク質レベルで比較することで、種と性の「認識」と細胞の「融合」という有性生殖の根幹を明らかにしたい。
当該年度は主に配偶子、二本鞭毛性遊走子から鞭毛を単離し、LC-MS/MS によるショットガン分析をおこなった。Fu et al. 2014.の手法を参考に、EGTAの濃度を調整することでスジアオノリの鞭毛を配偶子から単離する手法を開発した。雌雄配偶子および二本鞭毛性遊走子から単離した鞭毛をプロテオーム解析したところ、全体で251個のタンパク質を同定することができた。このうち80個は雌雄配偶子および二本鞭毛性遊走子で共通性がみられた。この中には鞭毛構成タンパク質が多く含まれていたが、解糖系に関わる酵素も同様に含まれており、アオサ藻綱の鞭毛運動は解糖系からのエネルギーが利用されている可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K14690
ID情報
  • 課題番号 : 18K14690
  • 体系的課題番号 : JP18K14690

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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