共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

ササゲ近縁野生種における湿害および乾燥耐性種内変異の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
17K15219
体系的課題番号
JP17K15219
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

ササゲの栽培が盛んな西アフリカでは乾燥ストレスが主な生産制限要因と考えられている。一方、これまでの現地栽培試験では、乾燥ストレスに加えて湿害がササゲの生育阻害要因となることが分かった。そこで、乾燥と湿害の両条件下で安定した生育を示す耐性品種を開発するのための遺伝資源として、砂漠から熱帯雨林まで幅広い環境に自生するササゲの近縁野生種に着目した。本年度、ナイジェリア国の国際熱帯農業研究所(IITA)から受領したササゲ野生遺伝資源56系統それぞれついて、遺伝的均一性を確保するための単粒系統化を完了し、それらを用いた乾燥および湿害耐性のスクリーニングを実施した。前年度に同様の手法で評価した栽培種に対し、野生種ではそれよりも全体的に耐性が強い傾向を示した。この結果にもとづき、乾燥条件、過湿条件のそれぞれ、あるいはその両方に対して対照区と同程度の生育・生理活性を示す系統を選抜した。使用した植物材料は現在の栽培ササゲの直接の祖先野生種と考えられており、栽培種との交雑が可能な種であるため、今回選抜した材料は育種材料として将来的に有望な系統である。また、乾燥と過湿条件に対する根の応答は大きく異なり、根の断面積に対して乾燥条件では維管束木部組織、過湿条件では皮層組織の割合が大きくなることが知られている。従来、両者の応答はトレードオフの関係にあるとされていたが、今回、乾燥および過湿の両条件で安定した生育・生理活性を示す系統の存在が明らかになったことで、従来知られていなかった新たな乾燥、過湿適応メカニズムの解明につながることが期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K15219
ID情報
  • 課題番号 : 17K15219
  • 体系的課題番号 : JP17K15219