共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

被疑者供述の獲得・使用に対する法的規制――自白法則の歴史的・比較法的検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K12658
配分額
(総額)
3,640,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
840,000円

本研究課題は,①自白法則がいかなる理論的構造を有しているのか,及び,②いかなる判断基準の下で自白の証拠能力が判断されるのか,という問題を主たる検討対象とするものである。令和元年度の検討の中心は①であったが,下記のとおり,当初の計画以上に研究を進展させることができた。
まず,今年度の前半には,当初の予定通り,自白法則の理論的構造に関して,イギリス法,オーストラリア法,カナダ法の検討を行った。これら3国の自白法則は,いずれも自白の信頼性に着目する信頼性原理を基調としているが,自白排除の判断基準として伝統的な「任意性」概念を用いるかといった点に差異がある。これらを比較検討することにより,信頼性原理の内実やそこから導かれる判断枠組みを明らかにした。
これらの研究が比較的順調に進行したことから,今年度の後半には,自白法則の理論的構造に関して,アメリカ法とドイツ法の検討を行った。この検討により,ドイツ法においては専ら「意思決定及び意思活動の自由」に着目した判断がなされているのに対して,アメリカの判例においては,「任意性」概念の下で,様々な自白排除の理論的根拠が主張されていることを明らかにした。
さらに,今年度には,この2年間に得られた歴史的・比較法的知見を総合し,日本法の下では,「任意性」概念に過度に依存することなく,複数存在する自白排除の理論的根拠ごとに自白排除の可能性を検討していくべきである旨の提言等を行った。
これらの研究成果は,法学協会雑誌上に公表するとともに,その要旨について,日本刑法学会第97回大会において個別研究報告を行うことができた。
また,本年度には,当初の予定を変更してドイツに出張し,現地の研究者等に対してインタビューをするとともに,裁判所における現地調査を実施した。

ID情報
  • 課題番号 : 18K12658

この研究課題の成果一覧

論文

  9

書籍等出版物

  1