2020年9月
特定保健指導積極的支援における中性脂肪該当者の特徴と中性脂肪に対する指導効果の検討
日本循環器病予防学会誌
- 巻
- 55
- 号
- 2
- 開始ページ
- 124
- 終了ページ
- 133
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本循環器病予防学会
【目的】特定健康診断を受検し、特定保健指導積極的支援に該当した者の中で、中性脂肪(TG)の基準に該当した対象者(TG≧150mg/dl)の特徴とTG値に対する特定保健指導の効果を検討することを目的とした。【方法】医療保険者155施設から収集したデータを用いた。2011年度に特定健診を受検して特定保健指導の積極的支援に割り付けられ、さらに翌年の特定健診を受診し、かつ服薬なしであった52,958名(男性82.8%)を解析の対象とした。TG基準該当者のうち、TG500mg/dl未満をTG高値者、500mg/dl以上をTG異常高値者とした。男女別に、TG基準非該当者と該当者、TG高値者と異常高値者の特性を比較した。また、それぞれの翌年のTG値を比較した。【結果】積極的支援該当者の中でTG基準該当者は男女ともに約半数を占めており、生活習慣としてはエネルギー過剰摂取につながるような、早食い、夕食後間食という食習慣がある男性が多く、運動習慣(男性のみ)・身体活動習慣がある者の割合が低いという特徴が明らかとなった。さらにTG異常高値者においては、高値者と比較して男性のみに高い喫煙率とハイリスク飲酒、就寝前夕食が関連していることが明らかとなった。保健指導のTGに対する効果は、減量達成した場合には特にTG減少量が大きくなることが認められた。またTG150ml/dl以上である場合は、BMI低下と独立したTG低下効果が認められ、さらに異常高値群では喫煙・飲酒の改善がTG減少量と関連を示した。【結論】保健指導積極的支援において、TG高値者およびTG異常高値者の特徴が明らかとなった。また特定保健指導にはTG低下効果があり、減量達成や喫煙・飲酒の改善が得られることによって、よりTG低下を促進する可能性が示唆された。今後は生活習慣の変化を踏まえた更なる検討が必要である。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1346-6267
- 医中誌Web ID : 2020401584