共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

表面改質とビルドアップ表面修飾を経るフレキシブル基板の無電解めっき

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K05608
体系的課題番号
JP19K05608
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

異種材料の複合化では、異成分間界面における物質間相互作用の最適化を通じた複合体の特性向上が期待される。ポリエチレンナフタレート(PEN)およびPETフィルム基材に対して、(1) 真空プラズマ処理もしくは紫外光照射(254 nm)による基材表面改質、(2) 交互積層による多層膜(表面修飾層)形成および膜表面への Pdナノ粒子触媒付与、(3) 無電解ニッケルめっきを経ることで、均一で密着性に優れた金属薄膜(めっき被膜)が形成され、フィルム基材/多層膜/金属薄膜の“積層構造体”が得られる。一方UV/O3処理による表面改質を経た場合、脆弱な改質層の生成により、金属薄膜の密着性は低く、“基材/多層膜界面”で剥離する。すなわち表面改質は、界面での相互作用発現に必要な一方で、不適切な条件では改質層の脆弱化に至る。
今年度は、改質過程と“表面改質層の特性”との関係、特に表面に生成する官能基について検討を行った。上記の通り高密着性の金属薄膜を形成可能なプラズマ処理もしくは254 nm光照射について、改質直後のPEN表面のゼータ電位および対水接触角の測定を行い、そのpH依存性を調べた。254 nm光照射では、明確なpH依存性が得られ、-CO2H 基由来の等電位点がpH 3.9-4.0 付近に存在することが示唆された。一方プラズマ処理では、pH依存性が比較的小さいことから、-CO2H 基に加えて-OH基の生成が示唆された。高分子の酸化分解反応で生じるこれらの官能基が、基材/多層膜界面での相互作用を発現させると考えている。また、UV/O3処理後に基材表面を1M NaOHで洗浄することで、脆弱な表面改質層の除去を試みた。しかし、ナノインデンターによる表面物性評価では、洗浄後は硬度の分布が不均一となることから、不完全な改質層除去による不均一な表面の形成が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K05608
ID情報
  • 課題番号 : 19K05608
  • 体系的課題番号 : JP19K05608