MISC

2017年10月

搬入時心停止を来すも救命し得た非クロストリジウム性ガス壊疽症の1例

日本救急医学会雑誌
  • 秋丸 理世
  • ,
  • 高橋 学
  • ,
  • 菅 重典
  • ,
  • 石部 頼子
  • ,
  • 増田 卓之
  • ,
  • 野々口 マリア
  • ,
  • 井上 義博

28
10
開始ページ
805
終了ページ
811
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本救急医学会

近年糖尿病に合併したガス壊疽が散見される。今回糖尿病に非クロストリジウム性ガス壊疽を合併し、敗血症性ショックから心停止を来すも救命し得た症例を経験したので報告する。症例は44歳の男性。既往歴は高血圧症、糖尿病(週3回維持透析)。約1ヵ月半前より右第5趾壊疽のため近医形成外科に入院中であったが、壊疽および感染が進行し敗血症性ショックを呈したため当院搬送となった。右下肢ガス壊疽による敗血症性ショックと診断し、大量輸液とともに昇圧剤、抗菌薬、γ-グロブリン製剤を投与した。外来処置中に一時心停止となり蘇生を開始した。手術室への搬送は困難と考え救急外来にて膝関節離断を行い、同時に血液浄化療法を施行した。第1病日よりDICを呈しAT-III製剤、ガベキサートメシル酸塩を併用した。ショックからの離脱を待ち右股関節離断術を施行し、創部は開放創とし処置を継続した。局所陰圧閉鎖療法を行い、後日植皮術を施行した。本症例は搬送後早期より嫌気性菌や混合感染を念頭に置いた化学療法、血液浄化療法、外科処置を行うことにより救命が可能であった。近年ガス壊疽に対しては抗菌薬投与やデブリードマンなどにより患肢温存が可能との報告もあるが、本症例のように感染が広範に及ぶ場合や全身状態の悪化した例では早期より患肢切断を含め包括的な治療が必要であると考えられた。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0915-924X
  • 医中誌Web ID : 2018063292

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