2020年3月
遅い夕食習慣は中年男性のメタボリックシンドローム発症リスクを増加させる
日本循環器病予防学会誌
- 巻
- 55
- 号
- 1
- 開始ページ
- 40
- 終了ページ
- 49
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本循環器病予防学会
【目的】働き盛りである中年男女を対象に、就寝前の2時間以内に夕食を摂る習慣(遅い夕食習慣)とメタボリックシンドローム(MetS)発症との関連を検討することを目的とした。【方法】全国の医療保険者等155施設において、2011年度から3年連続で特定健康診査を受診した40歳から59歳の者を対象とした。質問票にて就寝前の2時間以内に夕食を摂ることが週に3回以上あると回答した者を遅い夕食習慣あり、3回未満の者を遅い夕食習慣なしと定義し、回答が各年で異なった者は除外した。このうちベースライン時にMetSを有していない最終的な解析対象者は男性17,880人、女性29,769人であった。MetS構成因子指標であるBody mass index(BMI)・腹囲・収縮期血圧・拡張期血圧・空腹時血糖・中性脂肪(TG)・HDLコレステロール(HDL-C)に加え、LDLコレステロール(LDL-C)についても解析した。さらに、2年後のMetS発症に対する遅い夕食習慣の有無の関連を、ロジスティック回帰分析にて調整オッズ比として算出した。調整因子は、ベースライン時の年齢・生活習慣・特定保健指導実施の有無・各構成因子指標値とした。また、ベースライン時の各MetS構成因子指標の異常の有無別に層別化して、同様に調整オッズ比を算出した。【結果】MetS発症者は、男性で1,055人(5.9%)、女性で227人(0.8%)であった。遅い夕食習慣がある者は、男性ではMetS構成因子である指標の全てが、女性ではBMIとHDL-C以外の全ての指標が有意に悪化していた。遅い夕食習慣がある者のMetS発症調整オッズ比は男性では1.20(1.02-1.40)となったが、女性では1.32(0.82-2.13)となった。MetS構成因子指標の異常の有無別に見ると、男性で異常が無い者に限定しても、遅い夕食習慣があることがMetS発症に有意に関連していた。女性では有意な関連は見られなかった。【結論】中年男性では遅い夕食習慣によって、肥満・高血糖・高血圧・脂肪異常のリスクが高まり、MetS発症に至りやすくなることが示唆された。夜遅く食べる人にはこの点を考慮して、食習慣を管理するよう促す必要がある。また遅い夕食習慣の原因となる長時間労働等の働き方の見直しも必要であると考えられる。(著者抄録)
- ID情報
-
- ISSN : 1346-6267
- 医中誌Web ID : 2020250226