2020年4月 - 2024年3月
トリプトファン代謝に関連した老化制御の機構解明とトランスレーショナルリサーチ
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
我々は小腸に発現し必須アミノ酸のトリプトファン(Trp)の吸収に関与するAngiotensin converting enzyme 2(ACE2)に着目した研究を行ってきており、ACE2欠損マウスでは早期老化の形質を認めることを明らかにしてきた。本研究はTrp代謝が老化に及ぼす影響を、ACE2を介するアミノ酸吸収機構の観点で基礎的に研究することと、ヒトを用いた観察研究でTrp代謝産物と老化の関連を明らかにすることを目的としている。研究計画は1.腸管上皮特異的ACE2欠損マウスにおける老化関連形質を検証する研究、2.老化関連遺伝子p16欠損マウスを用いたACE2によるTrp吸収機構が老化に及ぼすメカニズムを検証する研究、3.疫学研究(SONIC)参加者を対象にTrp代謝機構と老化の関連を解明する研究で構成されている。1.に関しては腸管特異的Creマウスを入手しているが、ACE2-LOXpマウスの入手が完了していない。2.に関してはACE2欠損マウス、野生型マウス、ACE2欠損/p16欠損マウス、p16欠損マウスの4群の握力の経時変化を比較検討しているが、まだ比較検討が可能なデータ取得には至っていない。15か月齢において組織解析を行う予定であり、現在も検討継続中である。3.に関してはTrp代謝産物測定が必要となるが、Trpとその代謝産物であるキヌレニン、NAD+の同時測定を、HPLCを用いて行う方法を検討中である。当該年度は若齢(3ヵ月齢)、老齢(15ヵ月齢)の野生型マウスとACE2欠損マウスの骨格筋中Trp代謝産物濃度に関してHPLCと質量分析法で比較検討した。その結果、HPLCと質量分析法でのTrp代謝産物の組織中濃度に良好な相関を認め、HPLCの正確性が確認された。また、高齢ACE2欠損マウス骨格筋のTrp濃度が低下している等の新規知見も得られている。今後、血漿サンプルでの測定を行う準備を進めていく。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H03576
- 体系的課題番号 : JP20H03576