共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

光環境サイクルという視点からの、新たな心身症治療法の可能性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K11145
体系的課題番号
JP18K11145
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

光環境サイクルは生体に大きな影響を与えるとされているが、病状にたいする治療的な影響についてはいまだ検討されていない。本年度は、生体機能異常を呈することが多い、心身症患者における光環境サイクルの影響を検討した。対象は心身症にて入院患者のうち研究に同意の得られた15人。携帯型の照度、運動量、心電図計測器を用いて24時間記録を行い、結果を、日中と夜間における光照射量と自律神経機能、心身症症状との関連を検討した。
結果、積分照度が大きいいほど、心拍変動により得られる自律神経機能が良好であり、この両者には相関がみられた。一方運動量と自律神経機能の間には有意な相関はみられなかった。光照射、運動量のいずれもが、自律神経機能に影響すると考えていたが、光照度が活動量よりも患者の自律神経機能に大きな影響を与えていた。
運動量の多寡によって自律神経機能に違いが認められなかったことは、入院という環境下では、患者間の運動量に大きな差が生じにくく、このため運動の影響が評価できなかったものと考えられる。一方、入院という均質な環境、病室という限られた空間においても、光照射量の違いが、自律神経機能の良否に影響したということは、入院環境における窓の存在や、窓からの日光の照射量、室内の光照明環境などが、患者の病状の回復に重大な影響を与える可能性を示唆しており、今後の病院、病室設計や入院生活プログラムの作成において光照射量を考慮する必要性考があるとえられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K11145
ID情報
  • 課題番号 : 18K11145
  • 体系的課題番号 : JP18K11145