特別支援学校中学部に在籍するダウン症者1名が1年間に産出した日記文について、定量的な分析を行った。全249日記文について文字数、文数、語数を算出した結果、書記表現については文数1.7文、語数は16.4語で、英語圏で行なわれた研究の値と近いものであった。日記文を構成する品詞として多かったのは助詞、名詞、助動詞、動詞の順で、動詞の使用が少なく、名詞中心の文で構成されていること、動詞は学年段階の低い語を用いていることが明らかになった。また、記号の出現頻度が最も高かった。日記文の名詞と動詞について出現語彙目録を作成した結果、綿巻・小椋(2004)のカテゴリーに従うと、食べ物と飲み物、おでかけに関する語彙が多く認められた。カテゴリーに分類できない語彙としては、学校での活動に関する語彙があった。