MISC

2004年3月

12Cr鋼伝熱管材の耐ウェステージ特性; 小リーク・ナトリウム-水反応試験

JNC-TN9410 2004-009
  • 下山 一仁

開始ページ
46
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等

実用化戦略調査研究のナトリウム冷却炉における蒸気発生器水漏えい事故については、プラントの安全の確保や経済性の観点から水リーク対策設備を高度化し、隣接する伝熱管へと破損が次々に進展する破損伝播領域を局限化することが要求されている。現在、従来の知見や既存のツールを用いて水リーク事象の検討・評価を行っているが、12Cr鋼伝熱管材のナトリウム-水反応に対する腐食損耗、いわゆる耐ウェステージ性についてはこれまで実験データがなく定量評価がなされていない。 そこで、中規模のナトリウム-水反応試験装置(SWAT-1R)を用いて、12Cr鋼伝熱管材を試験体としたナトリウム-水反応試験を実施した。ナトリウム温度や伝熱管距離などの実験条件を固定して、水リーク率をパラメータにしたウェステージ率データを取得した。主な結果、成果を以下に示す。(1) 過去に行った伝熱管材のウェステージ率データと比較すると、12Cr鋼伝熱管材は9Cr系鋼に対して1.6倍以上、2.25Cr-1Mo鋼に対して2.7倍以上の耐ウェステージ性を持つことが把握できた。(2) 特に水リーク率の低い領域で耐ウェステージ性が良く、1g/sec以下では「もんじゅ」過熱器伝熱管材のSUS321ステンレス鋼より優れる傾向を持つことがわかった。(3) 設計評価に用いるため、9Cr系鋼伝熱管のウェステージ率評価式を基に12Cr鋼伝熱管材のウェステージ率評価式を導出した。今回導出した評価式は9Cr系鋼がベースとなっているため、特に水リーク率が低い領域では現実に比べ保守的である。今後の設計評価において、今回行った実験データより低い水リーク領域を設計基準の対象とする場合には、更に実験パラメータ範囲を広げてウェステージデータを取得し、12Cr鋼伝熱管材単独のウェステージ率評価式を導出する必要がある。

リンク情報
URL
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