2019年11月
特発性口蓋血管損傷により重度貧血を呈した猫の1例
動物臨床医学会年次大会プロシーディング
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 開催年月日
- 2019年11月 - 2019年11月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 主催者
- 動物臨床医学会
雑種猫、雌(避妊済)、10歳が原因不明の口腔内断続的出血と黒色便を主訴に来院した。血液検査上では重度の再生性貧血と低アルブミン血症が認められ、病歴および血液塗抹所見から慢性的な出血が示唆された。来院時の身体検査では、口腔内に腫瘍や歯牙疾患は観察されず、出血の原因は不明であった。血液凝固検査では異常を認めなかった。重度貧血に対し輸血を実施中、口腔内出血が認められ再度観察したところ、口蓋動脈直上粘膜から出血していた。出血部位の口蓋粘膜に微小な穿孔が認められ、穿孔部位を焼灼後、出血は認めなかった。猫における原因不明の口蓋動脈の出血は過去に数例報告があり、原因として外部寄生虫感染や毛繕いによる摩耗が推測されている。過去に報告のある症例と本症例の病歴、検査所見、口蓋の穿孔部位などは一致しており、猫の特発性口蓋血管損傷の可能性が考えられた。猫において原因不明の口腔内出血が認められた場合には、本疾患の可能性を含めて検討する必要があると考える。(著者抄録)