2019年4月 - 2022年3月
1950年代から1960年代の日本における子どもの人体実験に関する歴史研究
日本学術振興会 科研費(若手研究) 若手研究
本研究では戦後の医学研究における人体実験について、社会的弱者を対象とした事例に注目して歴史的検討を行う。とくに「子ども」、すなわち乳児、幼児、学齢期の児童を対象にした日本国内の医学研究を扱う。1950年代から1960年代の日本における具体的な事例としてすでに報告されているものに、国立予防衛生研究所の乳児大腸菌実験および東京第一病院(旧東京第一陸軍病院)付属の保育所、東北大学医学部付属病院のクル病幼児実験、国立公衆衛生院による小学校生徒に対する栄養制限実験、慶應義塾大学医学部付属病院の小・中学生に対する人工心肺による手術が挙げられる。これらの事例はいずれも、国立の研究機関やかつての陸軍病院、市の教育委員会や市立病院、学校長などが関与している。
令和元年度は、こうした複数の事例について国会図書館等で文献調査を行い、戦後日本の児童福祉のはじまりにおいて「保護」の名もとに「遺棄」された子どもの存在を通して、医学研究の倫理の問題を考察をすすめている。その作業において、親による保護がなされない、あるいは公的機関による保護が機能しない状況で、実験対象になった子どもたちが社会的弱者という集団として出現するプロセスを抽出することを試みている。
今後の計画では、各種文書館や各大学付属図書館にて、より稀少な資料の収集にあたり文献調査をすすめるとともに、考察で得られた結果をあわせて、研究成果として発表していく予定である。
令和元年度は、こうした複数の事例について国会図書館等で文献調査を行い、戦後日本の児童福祉のはじまりにおいて「保護」の名もとに「遺棄」された子どもの存在を通して、医学研究の倫理の問題を考察をすすめている。その作業において、親による保護がなされない、あるいは公的機関による保護が機能しない状況で、実験対象になった子どもたちが社会的弱者という集団として出現するプロセスを抽出することを試みている。
今後の計画では、各種文書館や各大学付属図書館にて、より稀少な資料の収集にあたり文献調査をすすめるとともに、考察で得られた結果をあわせて、研究成果として発表していく予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K12935