平野 啓子

語り部・かたりすと、大阪芸術大学放送学科教授。
日本文学を中心とする文芸作品を暗誦で伝える「語り」の音声表現の専門家。語り部という独自の世界を創造し、光と音、季節の風物をまじえ、語りを舞台空間のエンターテインメントとして確立して総合芸術の域にまで高めたことが評価され、舞台公演「平野啓子語りの世界」で平成９年度文化庁芸術祭大賞受賞。同年度、テレビ放送「平野啓子の語りの世界」で、優れた放送番組に授与されるギャラクシー賞奨励賞を個人・団体でダブル受賞。演劇界の新境地として第２４回松尾芸能賞優秀賞受賞。丁寧な発音による真心のこもった品格ある語り口として第８回徳川夢声市民賞受賞。「語り」の分野での長年の功績により平成２２年度文化庁長官表彰を受ける。平成２６年度文化庁文化交流使に任命され、海外で４０以上のミッションにおいて、日本文学を日本語のまま「語り」で伝え成果を上げた。平成２８年度に国際交流基金の海外派遣プログラム事業にて海外を再訪し、「語り」や「語り」文化を紹介する。手話語りや複数言語による輪誦語りも開発。早稲田大学卒業後、東京都歴史文化財団職員として文化事業プロデュースを経て、NHKニュースワイド・NHKニュースおはよう日本のキャスターに。大河ドラマ「毛利元就」「花の乱」などの語り、「どんとこい民謡」司会と語り（ふるさとの唄コーナー）、教育テレビ「NHK芸術劇場～平野啓子の語りの世界」語り、「おはなしのくに」語り、「NHK短歌」「歴史に見る日本」司会、「日本の伝統芸能鑑賞入門」聞き手、BS「日本のうた」司会、「素晴らしき音楽仲間」司会、ドキュメンタリー番組などのナレーション、フジテレビのドキュメンタリー番組ナレーション、文化放送「大奥」語り、テレビ朝日「古館伊知郎トーキングヒストリー」ナレーションなど、数々の番組に出演。大阪芸術大学プレゼンツ「平野啓子と語りの子たち」（ABC放送）では、平野の企画演出指導の下で、大阪芸大の学生も文学作品を朗読したり、語り指導の講座コーナーに受講生役で出演した。平成２８年度より、大学の所在する地元河南町で開催される秋の文化祭に、学生有志が出演する機会を作っている。平成２４年度には平野啓子も編集委員に加わる中学校国語教科書（東京書籍）に、「語り」が単元として取り上げられたことを受け、学術としても「語り」を研究・探求し続けている。大阪芸術大学の紀要（藝術研究所刊）「藝術４０」（平成２９年度）、「藝術４１」（平成３０年度）における「アートフォーラム覚書」に、文学作品の「語り」に関する論考を発表。
「語り」で地域振興や被災地支援、防災活動も行う。
卒業生には、東京や海外公演等で、平野啓子が出演する際のイベント補佐や共演など、仕事の機会を設け、後継者の育成にも努めている。
語りのCD/DVD多数。CD「走れメロス」「山月記／藪の中」（ユニバーサルレコード）、朗読CDシリーズ「心の本棚～美しい日本語」日本の詩歌 名作選2（キング）、源氏物語 若菜上・下「紫の上」「女三の宮」（インターナショナル・カルチャー）、クリスマス・キャロル（Fontec）、しだれ桜（新潮社）、ラヴ・ユー・フォーエバー（Victor）、平野啓子語りの世界「落葉樹」「ちっちゃなかみさん」（NHKサービスセンター）、ビデオ「しだれ桜」「落葉樹」（NHKサービスセンター）、CDブック「声に出して読みたい日本語」（草思社）。CD「多摩川の歌（語り）」（美しい多摩川フォーラム）、DVD「源氏物語の男君たち」（NHKサービスセンター）、DVD「原典 平家物語～祇王」（ハゴロモ）。DVD「多摩川の歌（語り）」（美しい多摩川フォーラム）なお、文芸歌謡として遠藤実作曲生活50周年に作曲された「しだれ桜／恋地獄」（ポリドール）で歌と語り。（しだれ桜は通信カラオケで配信中。）シャンソン「再会」（ユニバーサルレコード）で歌（itunesで配信中）。
著書に「平野啓子の語り美人」（大和出版）、「短歌のこころ語りの心」（リヨン社）、「兼好に恋して徒然草に学ぶ」（あすとろ出版）、最新刊「語り文化を世界へ～声で伝える日本文学の旅」（時鍾舎／共著）。教科書「語り台本 エルトゥールル号の物語～助け合いの精神 真心通う日本とトルコの友情」（ERP)、「困難を生き抜いた人々の話 全１１話」（内閣府防災担当／防災の学者等との共著）、「多摩の物語」（美しい多摩川フォーラム／平野の語り門華との共著）、
執筆：「日本教育資料 マイオピニオン」エッセイに定期的に執筆。ほか、文芸誌などへの寄稿。
中央教育審議会委員、中央防災会議（情報共有に関する専門調査会、災害教訓の継承に関する専門調査会、首都直下地震対策に関する専門調査会、等）専門委員、農林水産省食糧農業農村政策審議会委員を歴任し、現在、厚生労働省社会保障審議会委員、オーライニッポン会議副代表。警察大学講師。日本の語り芸術を高める会会長、ほか団体役員など。