共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

プロペラ型分子を用いた多環π共役面で囲まれた空間の創出

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K14611
体系的課題番号
JP21K14611
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

本研究では、通常の平面π共役分子とは異なり剛直な立体構造を持つ縮環プロペラン骨格に着目し、分子が作るナノ空間の活用に取り組んでいる。
初めにナフタレン縮環プロペランのヘキサニトロ体、ヘキサアミノ体の分子性固体について吸着測定を実施したところ、吸着特性はほとんど見られず極端に電子不足/豊富なπ共役面を特徴的な吸着分子選択性は発現されなかった。単純な分子性固体では立体骨格由来の空間を保持できないことが分かったため、次に共有結合による高分子化および水素結合部位の導入を検討し、プロペランがつくる空間の保持を達成した。アミノ基の縮合反応による高分子固体は良好な比表面積を示し、優れた炭化水素ガス・蒸気吸着能を示した。水素結合部位を導入した分子性固体でも一定の比表面積と優れた二酸化炭素・炭化水素吸着が見られた。これらは特に、低圧領域において長いアルカンほど大きなHenry定数(KH)を示す選択的な吸着特性を示し、π平面との多点的なCH/π相互作用が示唆された。
縮環プロペランは1990年代に報告された分子でありながらブロモ化を足掛かりとしたπ共役系の拡張以外の周辺修飾法は未開拓となっていたため、前述のニトロ体に続いてホルミル体、アシル体を得る手法を開発した。また、ナフタレンの1つをビフェニルに置き換えた[4.3.3]プロペランの非対称修飾法の確立によって、ねじれの位置関係にπ拡張したキラル分子の創出も達成した。非対称にカテコール部位を配置した分子の合成検討においては、カテコール部にヘキシル基を導入すると結晶性固体ではなく非晶質のフィルム状態を容易に形成することも見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K14611
ID情報
  • 課題番号 : 21K14611
  • 体系的課題番号 : JP21K14611