共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2007年

芸術療法における体験過程および表現特徴に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費補助金(特別研究員奨励費)  特別研究員奨励費

課題番号
07J01886
体系的課題番号
JP07J01886
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

研究1.芸術療法における体験過程に関する研究
本研究においては,芸術療法の諸技法における体験過程を比較することにより,その独自性と共通性を明らかにすることを目的とした。まず,芸術療法における体験過程を測定する尺度を開発し,その妥当性を検討した。この尺度を用いて,大学生を対象とした調査を実施した。被験者は、ブロック技法,コラージュ技法,風景構成法を体験し,各技法を体験した後に尺度への回答が求められた。この結果が統計的手法を用いて分析された。分析の結果,各技法の体験過程における独自性と共通性が明らかにされた。本研究によって得られた成果は、臨床心理実践の現場において,技法を選択し、導入する際に有用であると考えられる。本研究の結果は,論文としてまとめられ,現在,日本芸術療法学会誌に投稿中である。
研究2.ブロック技法における体験過程に関する研究-バウムテストを用いた検討-
本研究においては,投影法検査の1つであるバウムテストを用いて無意識レベルでの被験者の変化について検討された。具体的な調査方法としては,被験者に対してブロック制作の前後にバウムテストを実施し,その後,形式的特徴や印象評定などの観点から,ブロック制作前後のバウムテストの結果を統計的に比較検討した。この結果,ブロック制作によって,自己や他者への気づきが促進されるなどの効果があることが示唆された。この結果は,日本心理臨床学会第26回大会において発表された。
研究3.ブロック作品と制作者のパーソナリティ特性に関する研究
本研究では、性格検査であるTEG(東大式エゴグラム)のパターンと,ブロック作品の特徴を、統計的手法を用いて比較検討した。その結果,TEGのいくつかの下位因子と,ブロック作品の表現特徴との間に有意な関連が認められた。この結果から,臨床心理学的援助の現場において,クライエントを理解するためのアセスメントの手段の1つとして,ブロック技法が活用できる可能性が示された。本研究の結果は,日本心理臨床学会第26回大会において発表された。
今後,研究2,研究3によって得られた成果を総合して,論文としてまとめていく予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07J01886
ID情報
  • 課題番号 : 07J01886
  • 体系的課題番号 : JP07J01886