共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

非典型小児白血病を対象とした体細胞変異と生殖細胞系列変異の統合解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)
  • 加藤 元博
  • ,
  • 中林 一彦
  • ,
  • 内山 徹

課題番号
17H04234
配分額
(総額)
16,770,000円
(直接経費)
12,900,000円
(間接経費)
3,870,000円

本研究は、小児白血病の中で臨床的な「outlier」に焦点を絞り、体細胞変異と生殖細胞系列変異の両者の観点から「outlier」たる分子遺伝学的基盤を明らかにすることが目的である。
急性前骨髄性白血病の中で、典型的なRARA転座が検出されない症例を集積して集中的なゲノム解析を行った結果、新規のTBL1XR1-RARB転座を特定した。この転座はレチノイン酸経路をdominant negativeに抑制することで白血病の発症に貢献するだけでなく、典型的な急性前骨髄性白血病に著効する合成レチノイドが無効であることも確認された。急性前骨髄性白血病の一部を占める新たな疾患群につながる知見である(Osumi T et al. Cancer Res 2018)。
また、急性リンパ性白血病の中で極端に6-mercaptopurine(6MP)への感受性が高い患者の原因となるNUDT15多型について、複数の多型を持つ場合に正確なアレル構成を把握するdiplotype法を開発し、より精密に6MPの感受性を予測することを可能にした。また、NUDT15多型のある患者でもメソトレキセートへの感受性は低下していないことを示した(Tsujimoto S et al. Leukemia 2018)。
その他、混合型白血病の解析からMLL-USP2遺伝子を特定し(Ikeda J et al. Genes Chromosomes Cancer 2019)、さらに治療反応不良な乳児白血病の検体に対して全トランスクリプトーム解析を行った結果から新規の融合遺伝子MLL-ACTN2を特定した(Yoshida M et al. 投稿中)。
このように、「outlier」の解析を通じて新たな知見が得られ、結果的には「outlier」でない一般の小児白血病の全体の病態の理解につながる成果が達成できている。