2020年
造巣性のカシノキマタハダニ(ダニ目:ハダニ科)の捕食者について
日本ダニ学会誌
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プレプリント・著者最終稿
回数 : 22
- 巻
- 29
- 号
- 2
- 開始ページ
- 59
- 終了ページ
- 70
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.2300/acari.29.59
- 出版者・発行元
- 日本ダニ学会
<p>いくつかの種のハダニは葉の表面に絹糸で巣を作り,その内部で繁殖する(WN種).それらの営巣パターンは捕食回避と関係すると考えられるが,捕食者相に与える影響の検証例はスゴモリハダニ属などの少数の種に限られている.本研究では,高知県香美市において,常緑性のアラカシに寄生するカシノキマタハダニ(Schizotetranychus brevisetosus Ehara)の捕食者相を調査した.発見した個体(n=129)のうち,ハネカクシ類が38%,ハモリダニ類が26%となり両者で全体の半数を占めた.一方,ハダニのパッチでよく見られるカブリダニ科は全体の15%に過ぎず,そのうち多くが越冬中であった.また,卵捕食者のナガヒシダニ科(13%)を除き,他の捕食者はまばらであった.カシノキマタハダニは冬の間も成虫と卵が葉の上に残るが,1月と2月に活動する捕食者はいなかった.これまでの研究結果を踏まえると,本種の巣網や防衛行動が捕食者ごとに異なる効果を及ぼした結果,捕食者相が他種と異なった可能性がある.</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2300/acari.29.59
- ISSN : 0918-1067
- CiNii Articles ID : 130007961091
- CiNii Books ID : AA11330975