共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

MRIによる積雪内選択流の形成理論に基づく新しい浸透計算スキームの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K04960
体系的課題番号
JP19K04960
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究は、融雪災害の発生メカニズムの解明と予測技術の高精度化のために、独自開発した最新のMRIによる非破壊測定技術を用いて積雪内部の選択的な水の流れ(選択流)の形成過程を解明することと、気象データから積雪の内部構造や積雪底面からの流出を数値再現する積雪モデルにおいて選択流の振る舞いを取り扱う新しい浸透計算スキームを開発することを目的としたものである。
当該年度は、自然積雪から採取した雪をX線μ-CTにより詳細に非破壊計測し、雪の間隙の3次元構造を解析する手法の実用化を図った。この手法の実用化により、これまで技術的に困難であった積雪内部の間隙スケールでの水の振る舞いを表現するモデルの開発の準備が整った。そこで、X線μ-CTを用いて得た詳細な間隙のデータを基礎として、①多孔質体中の流体が別の流体に置換する過程をモデル化したインベーションパーコレーションを拡張し、個々の間隙同士の3次元ネットワーク構造を陽に取り扱うことで、微視的な間隙構造から巨視的な選択流による浸透現象の計算を可能にする手法と、②巨視的なスケールでの水分特性曲線のモデルのパラメータを、微視的な間隙の解析データから直接求める手法の開発に取り組んだ。そして、新規開発したモデルが、実験により得られた選択流による浸透と雪の水分保持の実現象を適確に表すことができることを確認した。
また、数値計算手法の開発と同時並行で、MRIによる選択流の室内浸透実験を実施した。今年度は次年度以降のMRIによる浸透実験の本格運用の準備段階として、既往研究における実験で使用したMRIよりも広視野の撮像が可能な静磁場強度0.2TのMRIによる選択流の可視化の実現可能性を確認する予備実験を実施した。自然積雪を用いた浸透実験の結果、同MRIを用いて選択流や止水面の形成を明瞭に可視化することが可能なことを確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K04960
ID情報
  • 課題番号 : 19K04960
  • 体系的課題番号 : JP19K04960

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