共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

三次元腫瘍オルガノイド評価系により見出された新規癌転移抑制化合物の創薬展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09904
体系的課題番号
JP20K09904
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

癌の悪性化、転移および再発を制御するには、分子機序の解明と有効な抗腫瘍薬の開発が不可欠である。近年、癌の悪性化には癌細胞を取りまく腫瘍微小環境が影響するといわれ、癌細胞のみならず腫瘍微小環境を制御する因子も標的分子の候補に入れた検討が必要である。本研究課題では、三次元腫瘍オルガノイド形成とMMP9発現をモニタリングすることによる、独自の多元薬物評価系によって見出したヒット化合物をもとに、新規癌転移抑制薬開発に向けた創薬展開を行うことを目的とする。
令和3年度は、これまで得られたヒット化合物のさらなるブラッシュアップのため、腫瘍微小環境に対する薬剤の効果を評価可能な高次アッセイ系の構築を引き続き行った。エクソソームをはじめとする細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)は腫瘍微小環境制御に関わるとされるが、免疫系細胞が分泌するEVの腫瘍細胞に対する影響について、昨年度確立した蛍光または発光モニタリングシステムを応用することにより検討した。マクロファージ様に分化させたTHP-1細胞から分泌されたEVをサイズ排除クロマトグラフィーを用いて粒子径により分画し、CD9陽性の大型EV(80-300 nm)とCD63/HSP90陽性小型EV(20-200 nm)を得た。蛍光標識したこれらのEVは口腔癌細胞HSC-3に効率的に取り込まれ、口腔癌細胞の生存率を大幅に低下させることが明らかとなった。
以上のことから、マクロファージ様細胞におけるEVの分泌を促進する薬剤は抗がん作用を発揮する可能性が高く、腫瘍微小環境に対する薬剤の効果を検討する上で重要であると考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09904
ID情報
  • 課題番号 : 20K09904
  • 体系的課題番号 : JP20K09904