2017年4月 - 2022年3月
地震破壊伝播機構解明のための長大岩石摩擦実験研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
長さ4mの岩石試料を用いた2軸摩擦試験機による岩石摩擦実験を行なった。その際測定された不安定すべりは、岩石の両端から初期のゆっくりすべりが開始し、徐々に中心部に向い、すべり残りがあるサイズになった時点で不安定すべりに移行し、中心部の滑りの腰部分を破壊したのち、両端に向かって高速すべりが伝播する様子が、ひずみゲージ、渦電流変位計、AEセンサーのアレイによって捉えられている。この現象は、沈み込み帯におけるプレート境界上で発生している繰り返し地震の解析によって得られているアスペリティ周囲の定常的なすべりとアスペリティの周期的な破壊により繰り返し地震が発生する現象と類似性が高く、プレート境界において発生している不均質すべり現象のアナログ現象として、詳細な解析の意義のあるデータを得ることができた。得られたデータから、ゆっくりすべりから高速すべりへ移行する際のクラックの臨界サイズを測定し、Uenishi & Rice (2003)らが提唱している震源核サイズと定性的に合致することが確かめられ、震源核サイズが断層摩擦の性質で決まることが実験的に裏付けられた。また、不安定すべりの発生に先立ち、多数の前震の発生も確認されている。これらの前震活動は、断層面の不均質さと関連があり、断層面の性質を変化させると前震活動の様子が変化することが実験的に確認されており、前震活動は断層面上での剪断応力分布を反映しているものと考えられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H02954
- 体系的課題番号 : JP17H02954
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
Nature Geoscience 16(1) 94-100 2023年1月2日 査読有り
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Journal of Geophysical Research: Solid Earth 127(3) 2022年3月 査読有り筆頭著者責任著者
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Nature Communications 12(1) 2021年7月 査読有り筆頭著者責任著者
講演・口頭発表等
4-
AGU Fall Meeting 2020年12月17日 American Geophysical Union
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日本地震学会 2020年10月29日
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Slow Earthquakes WS 2020 Virtual 2020年9月16日 Science of Slow Earthquake
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JpGU-AGU Joint Meeting 2020 2020年7月16日