2018年4月 - 2022年3月
アジアの文化財の伝統的製作・修理技法の詳細調査と国際修理プロジェクトへの応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H03598
- 体系的課題番号 : JP18H03598
この研究課題の成果一覧
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論文
8-
『東風西声 九州国立博物館紀要』第18号 37-50 2023年3月
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アジア鋳造技術史学会誌 FUSUS (15) 31-48 2023年3月 査読有り
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『日本文化財科学会第38回大会研究発表要旨集』 152-153 2021年9月
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『文化財保存修復学会第43回大会研究発表集』 214-217 2021年7月
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『日本文化財科学会第37回大会研究発表要旨集』日本文化財科学会 150-151 2020年9月4日 筆頭著者
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『文化財保存修復学会第42回大会研究発表集』文化財保存修復学会 372-375 2020年7月10日 筆頭著者
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『遺跡学研究の地平 : 吉留秀敏氏追悼論文集』吉留秀敏氏追悼論文集刊行会 515-522 2020年6月 筆頭著者
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『津倉古墳』光本順編、岡山大学考古学研究室 71-76 2020年3月 招待有り