2020年9月 - 2024年3月
脊髄損傷後の呼吸筋支配運動ニューロンの可塑的変化にリハビリテーションが与える効果
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
本研究では頸髄損傷モデルを作成して受傷早期から呼吸筋トレーニングを実施することで、横隔神経運動ニューロンの形態学的特徴がどのように変化するかを解析することを目的としている。2020年度の研究では頸髄損傷モデルと運動ニューロンの染色方法の確立を行った。2021年度には確立したモデルと染色手法をもとに、頸髄損傷モデルの作成からトレーニング群とコントロール群に分けて介入し、呼吸機能と横隔神経運動ニューロンの形態学的特徴の違いを観察した。2022年度はサンプル数の増加に加えて、トレーニング単独の効果を調べるために、頸髄損傷の偽手術群を設けて検討した。
ラットは頸髄損傷モデル作成後3日経過し、十分に回復していることを確認してトレーニングを実施した。トレーニングはチャンバー内に高二酸化炭素の混合ガスを投与して過換気状態にすることで行った。週に4回から5回の頻度で3週間実施した。頸髄損傷から3週間経過後、左横隔神経を露出してその断端をHorseradish peroxidase(HRP)に浸すことで取り込ませ、2日間の生存期間をおいた後に灌流固定した。潅流固定後は凍結切片で連続切片を作成し、TetramethylbenzidineにてHRPを発色させた。運動ニューロンは光学顕微鏡にて切片を観察し、解析ソフトによって外周にあてはまる楕円の長短径、断面積、推定表面積を解析した。
頸髄損傷群、頸髄損傷+トレーニング群、偽手術群、偽手術+トレーニング群を比較するとサイズの形態学的データはすべて頸髄損傷群のみで有意に縮小していることが明らかになった。これらの結果から頸髄損傷後の呼吸トレーニングは横隔神経運動ニューロンの縮小を抑制する可能性が示唆された。
ラットは頸髄損傷モデル作成後3日経過し、十分に回復していることを確認してトレーニングを実施した。トレーニングはチャンバー内に高二酸化炭素の混合ガスを投与して過換気状態にすることで行った。週に4回から5回の頻度で3週間実施した。頸髄損傷から3週間経過後、左横隔神経を露出してその断端をHorseradish peroxidase(HRP)に浸すことで取り込ませ、2日間の生存期間をおいた後に灌流固定した。潅流固定後は凍結切片で連続切片を作成し、TetramethylbenzidineにてHRPを発色させた。運動ニューロンは光学顕微鏡にて切片を観察し、解析ソフトによって外周にあてはまる楕円の長短径、断面積、推定表面積を解析した。
頸髄損傷群、頸髄損傷+トレーニング群、偽手術群、偽手術+トレーニング群を比較するとサイズの形態学的データはすべて頸髄損傷群のみで有意に縮小していることが明らかになった。これらの結果から頸髄損傷後の呼吸トレーニングは横隔神経運動ニューロンの縮小を抑制する可能性が示唆された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20K23257
- 体系的課題番号 : JP20K23257