2019年3月
AI社会における「人間中心」なるものの位置づけ
情報システム学会誌
- 巻
- 14
- 号
- 2
- 開始ページ
- 21
- 終了ページ
- 28
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
本論文は,人間と機械との同質性/異質性を整理したうえでAIの倫理綱領等を考察している。ネオ・サイバネティクスの理論に基づき人間と機械との間に違いが明確にあることを示し,「人間中心」社会の倫理的基盤を確認した。その後,AIネットワーク社会推進会議が提案した利活用原則(案)の公平性の原則を検討した。公平性の原則で論点として挙げられている「人間の判断の介在」の意義は,人間の人生を左右する判断にかんしては,機械の異常品を検知するのとは違い,機械に責任転嫁せず,人間の責任で行うことが求められるということである。唯一性を備えたオートポイエティック・システムの集合体たる人間の重要な意思決定については,同じくオートポイエティック・システムの集合体である人間が覚悟をもって行うべきものである。また公平性には,社会的な不安定性が増しているなかで,人々が社会的排除に陥るのを防ぐ包摂の考え方が含まれることが望ましい。