共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

可視光透過-赤外吸収プラズモンナノ粒子を用いた透明太陽電池への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K14074
体系的課題番号
JP18K14074
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円
資金種別
競争的資金

本研究では、いまだ未発見な半導体プラズモンナノ粒子からバルク半導体・金属への「プラズモン誘起電荷分離現象」の観測と、革新的透明太陽電池の開発を目的とする。
プラズモン共鳴の中心波長が1800nmのITOプラズモンナノ粒子を液相合成した。ITOナノ粒子は伝導帯位置がおよそ-4.7 eV v.s. Vacuumであり、波長1800nm(0.68 eV)の光によって励起された電子が、半導体電子受容層に移動する為には、半導体電子受容層の伝導帯位置が-4.0 eV v.s. Vacuumよりも低くなければならない。以上のバンド構造面からの考察を踏まえて、ITOナノ粒子をSiO2・SnO2・TiO2の3種類の半導体電子受容層にそれぞれ担時した。ITOナノ粒子は合成時に長鎖の有機配位子によって保護されているため、半導体電子受容層と直接的に結合できない。そのため、空気雰囲気下、水素含有アルゴン雰囲気下での2段階焼成プロセスを経ることで、直接的な結合を有する界面を作製した。その後、赤外光照射時の半導体電子受容層のフリーキャリアの吸収を、過渡吸収測定によって観測した。過渡吸収測定の結果、ITOナノ粒子からの電子注入はSnO2、またはTiO2で生じることが明らかとなった。さらに、ITOナノ粒子とSnO2(-4.5 eV v.s. Vacuum)の組み合わせで、最も高い電子注入効率を示すことを明らかにした。
この結果から、実際に、表面積の大きなナノポーラス構造を有したSnO2を金属基板に担持し、さらにITOナノ粒子を吸着させて光電気化学測定をしたところ、ITOナノ粒子の吸収スペクトルと一致した形の光電流波長依存性が得られた。加えて、最大波長2100nm-2550nmの赤外光の照射によっても、ITOナノ粒子のプラズモン由来の電子を外部電流として取り出せることを明らかにした。これは、地上に届く太陽光の中でも最も長波長の光であり、太陽光のエネルギーを余すことなく利用できることを示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K14074
ID情報
  • 課題番号 : 18K14074
  • 体系的課題番号 : JP18K14074