守 一雄
基本情報
- 所属
- 東京農工大学 (名誉教授)
- 学位
-
教育学博士(筑波大学)
- 通称等の別名
- 森まりも
- 研究者番号
- 30157854
- J-GLOBAL ID
- 200901050765892533
- Researcher ID
- E-6797-2013
- researchmap会員ID
- 1000021532
- 外部リンク
信州大学、東京農工大学、そして松本大学と40年間の大学教員をしてきましたが、2022年3月末をもって、松本大学教育学部教授を退職し、大学教員生活から引退しました。大学教員生活を終えるタイミングで、アメリカに本部のある心理学の国際研究者組織である「心理科学協会:Association for Psychological Science; APS」の2022年度永年指導教員賞 (APS Mentor Award) をいただきました。それでも退職後も、現在参画している共同研究を中心にフリーの研究者として研究を継続していくつもりです。今年(2023年)8月の応用認知記憶研究学会の名古屋大会 (SARMAC Nagoya) には2021年開催の誘致段階から関わり、コロナ禍での2年の延期を経て、組織委員として運営全般に関わりました。
【研究者】としては、相変わらず提示トリック(MORIテクニック)を使った応用社会心理学的実験研究をしています。共同目撃者間の同調について、数年前から10カ国の研究者と国際共同研究プロジェクトを立ち上げて研究をしてきた成果が2019年1月にJARMACに公刊されました。さらに、ポーランドの研究者と研究を進展させ、2020年5月に「事前登録実験報告」という新しいスタイルの論文をApplied Cognitive Psychologyに公刊しました。2021年にも発展させた研究結果を公刊しました。これをさらに進展させた実験研究結果を投稿中です。この研究成果をポーランド以外でも確認するために、コロンビア、トルコ、インド、マレーシアの研究者とも共同で実験を実施する計画です(日波古土印馬計画)。
一方、永年中学校教諭として勤務し、2021年4月から大分大学教職大学院教授に就任した内田昭利先生と10年間以上共同研究をしてきています。「成功経験による自己効力感と学力の向上を実験的に証明した研究」も2018年11月に成果論文がアメリカ教育研究学会のオープンアクセス誌に公刊されました。同じ実験手法での工藤弘先生(小学校教諭)との共同研究も2021年3月に公刊されました。内田先生との共同研究もしばらく継続するつもりです。
次に力を入れているのが、集団式潜在連想テスト(FUMIEテスト)を活用した「偽装数学嫌い」についての研究です。2018年4月にはこの研究を紹介した本を出版しました。本を執筆するのは17年ぶりでした。「偽装数学嫌い」は日本だけでなく、台湾や韓国の子どもにも存在すると考え、東南アジアの研究者と国際共同研究を計画しています。台湾のLin先生とはPME40以来の付き合いで、日本にお招きする機会をうかがっていたのですが、実現していません。ただ、今後も大分大学教授となった内田先生と共同で「偽装理数嫌いの国際共同研究」として研究を進める計画です。
日本の大学生の理系女子の割合は世界的に見ると低いレベルにあり、これを増やそうという試みがなされていますが、大学や高校レベルでの対策では遅い可能性があります。中学生の数学嫌いの「芽生え」も小学生時代にまで遡って調べてみる必要があります。そこで、FUMIEテストを小学校でも使えるように改訂し、小学生の算数嫌いの研究も内田先生や松本大学の佐藤先生と開始しました。2023年には、科研費の基盤Cの申請をします。
その他にも、FUMIEテストを活用した研究は、社会科教育にも発展させ、松本大学の社会科教育を専門とする秋田真先生との共同研究を Akita & Mori (2021) (2023)として公刊しました。秋田先生との共同研究も継続しています。また、体育科教育を専門とする松本大学の濱田先生とも共同研究を始めました。さらに、東京農工大学のかつての同僚だった中国語教育の任先生ともFUMIEテストを活用した配偶者呼称の研究を計画しています。
【教育者】としての仕事は、すべて「卒業」しました。内田先生との共著を17年ぶりに出版した勢いで、2019年3月にはコアカリキュラムに準拠した教育心理学の教科書を単著で書き、出版しました。ただ、もう授業もないので本の執筆はこれで終わりだろうと思います。退職後は学生を指導する代わりに、学術誌の査読を積極的に引き受け、できるだけリジェクトにはせず、論文を改善するアドバイスをするように心がけています。手間がかかって結構大変なのですが、査読実績を記録してくれる仕組みがあるので励みになります。
【読書人】としては、「年間百冊読書する会(DOHC)」を主宰し書評ミニコミ誌「DOHC月報」を毎月ウェブに公開しています。2022年3月の松本大学退職時で発行丸34年半になったのですが、退職でしばらくはモチベーションをなくして35年間で初めて休刊をしてしまいました。それでも、その後復活して、36年目の発行を継続しています。
【家庭人】としては、2人の息子が独立したので、長野市で妻と2人暮らしになりました。妻はまだ仕事を続けていますので、しばらくは専業主夫として妻を支えることになります。毎日夕食を作っています。レパートリーは50を超えます。チーズケーキ、パウンドケーキ、プリンなどのお菓子作りもしています。横浜市にいる息子家族には2人の子どもがいて、爺業にも精を出しています。
【地域人】としては、2022年4月から副常会長として、主としてゴミ集積場の管理に関わっていました。そして2023年4月からは常会長として、地域の自治会の運営全般に関わっています。無神論者ですが、地域の自治会では地域の神社の氏子であることが前提となっていますので、春と秋のお祭りにも法被を着て参加します。昨年は規模は小さいものの「御柱祭」にも参加しました。
(2023.9.1 現在)
研究キーワード
87研究分野
7経歴
7-
2017年4月 - 2022年3月
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2007年4月 - 2017年3月
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1998年6月 - 2007年3月
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1984年4月 - 1998年5月
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1982年4月 - 1984年3月
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1978年4月 - 1980年3月
受賞
4主要な論文
70-
アメリカ教育研究学会オープン誌 4(4) 1-9 2018年10月 査読有り最終著者責任著者
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理数科教育研究国際誌 16(6) 1115-1126 2018年8月1日 査読有り最終著者責任著者
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国際心理学研究誌 45(5) 390-397 2010年 査読有り筆頭著者責任著者
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行動研究方法誌 40(2) 546-555 2008年5月 査読有り筆頭著者責任著者
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記憶研究 16(3) 262-273 2008年 査読有り最終著者
MISC
104-
物理教育 71(3) 198-201 2023年9月 査読有り招待有り最終著者
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Draft 2022年5月 最終著者
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教育総合研究 5 149-159 2021年12月
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地域総合研究(松本大学) 22(Part 1) 139-146 2021年5月 筆頭著者
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松本大学研究紀要 19 91-102 2021年3月 筆頭著者責任著者
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教育総合研究 4 141-147 2020年11月 筆頭著者責任著者
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教育総合研究(松本大学紀要) 3 165-174 2019年11月
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内外教育 (6769) 1-1 2019年8月
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2019年5月
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『あずさの森のピタゴラス』 2019年4月
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松本大学研究紀要 17 165-173 2019年3月
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教育総合研究(松本大学紀要) 2 125-133 2018年12月
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文化学園長野専門学校研究紀要 9 9-14 2017年11月
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教育総合研究(松本大学紀要) 1 235-245 2017年11月
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サイコロジーレビューマガジン 22(1) 27-29 2016年9月 招待有り筆頭著者
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大学教育ジャーナル (東京農工大学) 12 43-50 2016年3月
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信州大学教育学部研究論集 9 95-111 2016年
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信州大学教育学部研究論集 = Shinshu University journal of educational research and practice 6(6) 199-208 2013年7月
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共生社会システム研究 6(1) 322-331 2012年7月 査読有り
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教育実践学論集 13(13) 221-227 2012年3月 査読有り
書籍等出版物
14-
松本大学出版会 2019年3月 (ISBN: 9784902915259)
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北大路書房 2018年4月
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北大路書房 2001年7月 (ISBN: 4762822191)
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新潮社 2000年12月 (ISBN: 4102900608)
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ベストセラーズ 1999年6月 (ISBN: 4584306222)
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北大路書房 1999年4月 (ISBN: 4762821403)
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北大路書房 1998年7月 (ISBN: 4762821179)
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北大路書房 1997年10月 (ISBN: 4762820989)
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新曜社 1996年7月 (ISBN: 4788505622)
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岩波書店 1995年4月 (ISBN: 4000039210)
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新曜社 1993年6月 (ISBN: 4788504480)
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風間書房 1992年1月 (ISBN: 4759908056)
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講談社 1991年 (ISBN: 4061539140)
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新曜社 1989年11月 (ISBN: 4788503557)
講演・口頭発表等
27-
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潜在連想テストによる「偽数学嫌い」の発見と対策(第20分科会 基礎学力・基礎・自由研究,II 中学校部会,第97回全国算数・数学教育研究(北海道)大会,第70回記念北海道算数数学教育研究大会札幌大会)日本数学教育学会誌. 臨時増刊, 総会特集号 2015年8月1日 公益社団法人日本数学教育学会
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国際学会:認知科学会2014総会(CogSci 2014)予稿集 2014年
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国際学会:認知科学会2013総会(CogSci 2013) 予稿集 2013年
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2012年8月
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INTERNATIONAL JOURNAL OF PSYCHOLOGY 2008年6月 PSYCHOLOGY PRESS
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INTERNATIONAL JOURNAL OF PSYCHOLOGY 2008年6月 PSYCHOLOGY PRESS
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心理学コロキウム(信州大学) 2005年5月18日
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日本教育心理学会総会発表論文集 2000年7月25日 日本教育心理学会
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国際認知科学会議 1999年
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日本行動計量学会大会発表論文抄録集 1998年9月1日 日本行動計量学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1996年11月2日 日本教育心理学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1996年11月2日 日本教育心理学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1996年11月2日 日本教育心理学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1995年8月31日 日本教育心理学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1995年8月31日 日本教育心理学会
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日本教育心理学会総会発表論文集 1991年8月1日 日本教育心理学会
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日本認知科学会R&I研究分科会
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日本教育心理学 (1988) 会第30回総会
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日本教育心理学 (1988) 会第30回総会
共同研究・競争的資金等の研究課題
26-
日本学術振興会 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 挑戦的萌芽研究 2014年4月 - 2017年3月
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日本学術振興会 科学研究費補助金(基盤研究B) 基盤研究(B) 2013年4月 - 2017年3月
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日本学術振興会 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 2013年4月 - 2016年3月
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日本学術振興会 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 2011年 - 2013年
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日本学術振興会 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 2011年 - 2013年
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文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究) 2011年 - 2012年
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文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究) 特定領域研究 2009年 - 2010年
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Japan Society for the Promotion of Science Grant-in-Aid for Scientific Research 2007年 - 2010年
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Japan Society for the Promotion of Science Grants-in-Aid for Scientific Research 2007年 - 2010年
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文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B)) 基盤研究(B) 2007年 - 2010年
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文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B)) 基盤研究(B) 2007年 - 2010年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2005年 - 2007年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2005年 - 2007年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2005年 - 2007年
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文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B)) 基盤研究(B) 2004年 - 2007年
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文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C) 2006年 - 2006年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2005年 - 2006年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2004年 - 2006年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2004年 - 2006年
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文部科学省 科学研究費補助金(萌芽研究) 萌芽研究 2002年 - 2004年
学術貢献活動
1その他
28-
2023年1月 - 現在「X以上、X以下」をはじめ、「X以前、X以後、X以北、X以南、X以外、X以内」など、「X以?」(?には前、後、北などが入る)という表現は日常的に広く使われている。しかし、「Xを含むのか含まないのか」についての解釈に混乱が見られる。ここでは、「X以?」という表現で「Xを含むか含まないか」を決める「原則」を明示したいと思う。さらに、この「原則」が正しく働くために考慮すべき2つの「補則」を提示する。
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2021年3月 - 現在2018年6月3日付のジャパンタイムズの記事で、岐阜大学のJ.G.ラッセル教授が、私の研究を間違って引用していることを指摘し、間違いを修正するよう要望したもの。
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2021年1月 - 現在ハッティとイェーツ(2014)の『学びの見える化と学びの科学』の「謝辞」の"英訳"です。翻訳ソフトでも意味の通る日本語になります。 追記:実際にDeepLで日本語に翻訳してみました。(2021.3.16)
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2021年1月 - 現在ハッティとイェーツ(2014)の『学びの見える化と学びの科学』の「第3章」の学生用私訳です。展望を含め第3章全体を訳しました。この章には問題点が多いので、批判的コメントを付記してあります。
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2021年1月 - 現在ハッティとイェーツ(2014)の『学びの見える化と学びの科学』の「第2章」の学生用私訳です。展望を含め第2章全体を訳しました。簡単なコメントも付記しました。
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2021年1月 - 現在ハッティとイェーツ(2014)の『学びの見える化と学びの科学』の「第1章」の学生用私訳です。私訳者のコメントも付記しました。本章の中心となるウィリンガム(2009)を読み肩書きなどを修正しました。また、コメントに補足を加えました。(2021.2.5)
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2021年1月 - 現在ハッティとイェーツ(2014)の『学びの見える化と学びの科学』の「はじめに」の学生用私訳です。簡単なコメントも追加しました。コメントへの補足もしました。
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2020年8月 - 現在守 (2019ab)で「百点をつけるテスト」をするべきであるという主張をした。 この主張を、新型コロナウィルス感染症対策のためにオンライン授業となった 2020 年度前期の「教育心理学」(教育学部 2 年生必修:履修登録者 92 名)で自ら実践し てみた。オンラインでの課題提出では、不十分な解答を学生に何度でも修正させる ことができるという利点がある。そこで、この利点を活かして、すべての学生が「百 点」になるまで、何度でも挑戦できるような記述式テストを実施した。最終試験は 成績提出までの時間的制約があって「何度でも再挑戦させる」ことは難しいため、 「中間テスト」をこの実践の対象とした。テスト問題は授業で取り扱った 10 の用語 について「数行程度で記述説明する」ことを求めるものとした。問題用紙を配布し、 自宅で「何をみても良いので解答を記入して提出する」よう指示し、約1週間の解 答期間を与えた。数回のやりとりで「全員が百点になる」と期待したが、10 回以上 の修正後でも、最終的に「百点」を取れた学生は 91 名中 79 名に留まった。また、 採点する教員の負担が過重になるという問題点もわかった。
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2017年3月 - 現在<リレー連載>言語学名著再読 守 一雄(初出『月刊言語』第36巻9号2007,92-97.) ラメルハート・マクレランド・PDP リサーチグループ 『PDP モデル』
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