2020年4月 - 2024年3月
非平衡界面ゆらぎの大偏差計測に向けた重点サンプリング法の実験実装と実現
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究では、稀にしか起こらない大きなゆらぎ(大偏差)の統計法則の理解を目指し、厳密解研究が進むKardar-Parisi-Zhang (KPZ) 普遍クラスの非平衡界面を対象にして、大偏差の実験計測を試みることを主たる目的とする。
本年度の主たる目的は、KPZ大偏差を調べるためのアルゴリズム開発であった。先行研究で開発された大偏差計測手法である重点サンプリング法の一種を、界面の局所高さの大偏差が計測できるような形式で実装し、数値計算でその有効性を検証した。数値計算には、KPZクラスの厳密解が得られている可積分模型であるtotally asymmetric simple exclusion process (TASEP) を使い、大偏差の既知の性質、特にKPZ局所高さに特徴的なスケーリング則や厳密解の関数形がどの程度正確に再現するかを調べた。また、次年度以降の実験実装を念頭に、重点サンプリング法のパラメータに結果がどの程度影響されるかを調査した。
本年度はまた、次年度以降に液晶乱流実験系でリアルタイム画像解析を行うために使用を計画していたモジュール型計測器一式について、画像取得・解析方法の調査検討を開始した。
なお、KPZクラスの普遍法則はいくつかの普遍サブクラスに分類されるが、特に重要な3つのサブクラスのうち、定常界面のサブクラスは典型ゆらぎの性質も未だに確かな実験証拠の報告例がない状況であった。定常サブクラスは大偏差の研究にも重要なため、本年度は液晶乱流実験系における定常サブクラス検証にも取り組み、検証を完了させた。
本年度の主たる目的は、KPZ大偏差を調べるためのアルゴリズム開発であった。先行研究で開発された大偏差計測手法である重点サンプリング法の一種を、界面の局所高さの大偏差が計測できるような形式で実装し、数値計算でその有効性を検証した。数値計算には、KPZクラスの厳密解が得られている可積分模型であるtotally asymmetric simple exclusion process (TASEP) を使い、大偏差の既知の性質、特にKPZ局所高さに特徴的なスケーリング則や厳密解の関数形がどの程度正確に再現するかを調べた。また、次年度以降の実験実装を念頭に、重点サンプリング法のパラメータに結果がどの程度影響されるかを調査した。
本年度はまた、次年度以降に液晶乱流実験系でリアルタイム画像解析を行うために使用を計画していたモジュール型計測器一式について、画像取得・解析方法の調査検討を開始した。
なお、KPZクラスの普遍法則はいくつかの普遍サブクラスに分類されるが、特に重要な3つのサブクラスのうち、定常界面のサブクラスは典型ゆらぎの性質も未だに確かな実験証拠の報告例がない状況であった。定常サブクラスは大偏差の研究にも重要なため、本年度は液晶乱流実験系における定常サブクラス検証にも取り組み、検証を完了させた。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20H01826
- 体系的番号 : JP20H01826
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
7-
Physical Review Letters 134 097104 2025年3月6日 査読有り筆頭著者責任著者
-
Phys. Rev. Res. 6(023284) 2024年6月17日 査読有り最終著者責任著者
-
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 119(42) e2207349119 2022年10月3日 査読有り最終著者責任著者
-
Soft Matter 18(29) 5435-5445 2022年7月5日 査読有り
-
Chaos 31(11) 111103-111103 2021年11月9日 査読有り最終著者
-
Phys. Rev. E 104 054103 2021年11月5日 査読有り最終著者
-
Physical Review Letters 124(25) 250602 2020年6月24日 査読有り最終著者責任著者
講演・口頭発表等
19-
APS Global Physics Summit 2025年3月19日
-
非平衡融合研究会 2025年2月7日
-
Recent developments in Kardar-Parisi-Zhang universality 2024年9月25日 招待有り
-
Conference of Condensed Matter Physics (CCMP2024) 2024年8月5日 招待有り
-
Frontiers in nonequilibrium physics: Active matter, topology and beyond 2023年8月1日 招待有り
-
Building a bridge between non-equilibrium statistical physics and biology 2023年7月6日 招待有り
-
第75回 日本細胞生物学会大会 2023年6月30日 招待有り
-
APS March Meeting 2023 2023年3月10日
-
The 12th Dynamics Days Asia Pacific (DDAP12) 2022年11月7日 招待有り
-
Stat&QuantPhys Autumn School 2022 (SQP2022) 2022年9月27日 招待有り
-
講師Microsoft Project Users Forum (MPUF) MPUF研究開発プロフェッショナルの流儀 第21回 オンライン 2022年12月21日
社会貢献活動
1