2017年4月 - 2020年3月
減圧ドライ転写法によるグラフェン共振器を用いた超高感度化学センサ
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
架橋グラフェンによって形成される封止キャビティの直径の大口径化と高アスペクト化(直径/キャビティギャップ)を図るため、減圧ドライ転写プロセスの条件検討として、支持PMMA膜の薄膜化を行った。グラフェンを転写する際に加熱によってガラス転移するPMMAにより、基板と密着しているグラフェンは十分な接着力が得られるようにしつつ、PMMAの体積を小さくすることによって、狭ギャップがつぶされない条件の探索を行った。その結果、PMMAの膜厚を1umにした際に、直径40um以下の架橋グラフェンを歩留りよくを形成することに成功した。
これまでの報告では、グラフェン共振器の固有振動は高真空に排気された環境でしか観測されてこなかったため、本研究ではセンサとしての使用を目指し、大気中での振動動作の実現を目指している。真空チャンバ中で圧力を変化させたときの架橋グラフェンの固有振動数を評価し、圧力の増加に伴い振動のQ値が減少していく様子が観測された。これまでのところ、グラフェンの振動が観察可能な最大圧力は500 Paであったことから、大気圧動作に向けて振動のQ値の向上が求められる。架橋グラフェンの共振特性向上に向けて、引張歪みを印加することが有効な手段であることが報告されているため、歪みを印加するレジスト(SU-8)パターンを架橋グラフェン上に形成する構造を実現した。SU-8パターンに熱を与えることによって収縮が発生し、架橋グラフェン中に約1%の引張歪みが印加されている様子がラマン分光により観測された。
また、化学物質の検出を行う別の手法として、分子が架橋グラフェンに吸着した際に発生する応力による静的な変形を検出する手法を検討した。直径の異なる架橋グラフェン上にモデルタンパク質を吸着した際の変形量から、0.446 mN/mの表面応力が印加されている数値が算出され、定量評価が可能であることが示唆された。
これまでの報告では、グラフェン共振器の固有振動は高真空に排気された環境でしか観測されてこなかったため、本研究ではセンサとしての使用を目指し、大気中での振動動作の実現を目指している。真空チャンバ中で圧力を変化させたときの架橋グラフェンの固有振動数を評価し、圧力の増加に伴い振動のQ値が減少していく様子が観測された。これまでのところ、グラフェンの振動が観察可能な最大圧力は500 Paであったことから、大気圧動作に向けて振動のQ値の向上が求められる。架橋グラフェンの共振特性向上に向けて、引張歪みを印加することが有効な手段であることが報告されているため、歪みを印加するレジスト(SU-8)パターンを架橋グラフェン上に形成する構造を実現した。SU-8パターンに熱を与えることによって収縮が発生し、架橋グラフェン中に約1%の引張歪みが印加されている様子がラマン分光により観測された。
また、化学物質の検出を行う別の手法として、分子が架橋グラフェンに吸着した際に発生する応力による静的な変形を検出する手法を検討した。直径の異なる架橋グラフェン上にモデルタンパク質を吸着した際の変形量から、0.446 mN/mの表面応力が印加されている数値が算出され、定量評価が可能であることが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H03251
- 体系的課題番号 : JP17H03251