基本情報

所属
早稲田大学 人間科学学術院 准教授

研究者番号
60847002
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-5061-1657
researchmap会員ID
5000066735

外部リンク

日常のコミュニケーションにおいて,わたしたちは,言語のみならず身振りや視線,表情,姿勢など,複数のモダリティー(様式)を用いて情報のやり取りをしています。わたしの研究室では,こうしたマルチモーダルコミュニケーションの様相とその産出ー理解のメカニズムを研究しています。特に身振りと言語との関係に焦点を当て,それらの産出や理解の過程や発達的変化の解明に取り組んでいます。現在は,主に以下の3つのテーマの研究を行っています。

【発話と身振りの統合的理解】
子どもは,マルチモーダルな環境のなかで言語や社会性,コミュニケーション能力を発達させていきます。子どもの周囲にいる大人は,発話に表情や身振り,視線など視覚的な情報を付随させ,子どもと関わっています。そうした大人からの働きかけを,子どもはいつ頃から,どのように理解していくのでしょうか。こうした問いのもと,子どもにおける身振りと発話の統合的理解の処理過程と発達を,行動指標や生理的指標(脳波)を使い,実験的に明らかにしています。

【身振りと言語の発達経路に及ぼす文化的な影響】
子どもは周りの大人や他の子どもとの相互作用を通じて,コミュニケーションのスキルを発達させていきます。この過程において,子どもは表現の内容(何を伝えるか)だけでなく,表現の様式(どのように伝えるか)も学習していきます。そうしたスキルの学習過程は一様ではなく,その過程に影響を及ぼす周囲の働きかけや相互作用のあり方,表現様式の伝達的価値は,文化ごとに異なっていると考えられます。そこで,日本の子どもを対象に,コミュニケーションで使用される身体的動作(うなづき,否定,姿勢,身振りなど)が,どのように獲得・学習されているか,ということを様々な場面で観察しています。将来的には,観察結果を日本以外の文化圏とで比較し,日本独自のコミュニケーションの発達経路を明らかにしたいと考えています。

【失語症と身振りとの関係】
失語症者におけるコミュケーションのあり方と,様々なモダリティーを用いた言語治療・評価について研究してます。話す,聞くなど,音声言語機能の一部に困難をきたしているものの,コミュニケーションや認知能力は損なわれていない失語症者の方も多く,身振りは比較的容易に産出できる重要な情報伝達媒体となります。そこで,言語聴覚士の先生方と一緒に,失語症の症状と身振りパタンとの関係や,マルチモーダルな手がかりを使用した言語治療・評価の開発に取り組んでいます。

上記のテーマのほかに,応用的研究として,スポーツや音楽活動における身体動作の役割に関する研究も行っています。


論文

  46

書籍等出版物

  7

講演・口頭発表等

  116

共同研究・競争的資金等の研究課題

  16

メディア報道

  1

MISC

  45