共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

近世後期における皇位継承と江戸幕府

日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

課題番号
19J20379
体系的課題番号
JP19J20379
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,500,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
0円

本研究は、近世後期における皇位継承・葬送儀礼の問題を素材に天皇の意思・構想の展開とそれに対する江戸幕府の政策を検討するものである。研究初年度である本年度は、宮内庁書陵部、東京大学史料編纂所、慶應義塾図書館、西尾市岩瀬文庫、京都府立京都学・歴彩館、京都大学文学部古文書室、泉涌寺、聖護院門跡等で史料調査を実施し研究を進めた。研究実施状況は下記の通りである。
(1)近世天皇の葬送・中陰儀礼の成立と展開、運営を検討し、(ⅰ)葬送・中陰儀礼に関わる幕府の対応、寺院の格式が延宝、宝永期に段階的に成立したこと、(ⅱ)宝暦期に「院葬送」形式で行われてきた葬送儀礼が動揺し、安永期に「天皇葬送」へと変化すること、(ⅲ)泉涌寺での葬送儀礼における幕府・朝廷・藩の関与する運営構造を明らかにした。以上は大阪歴史学会近世史部会にて研究報告を行い、(ⅰ)(ⅱ)部分は論文として投稿中である。
(2)(1)に関連して、史料調査にて確認した近世天皇の葬送を描いた絵画資料について、天皇行幸関連の絵画資料との比較の上、行幸・葬送をめぐる朝廷・幕府の儀礼認識を検討した。以上はハーバード大学にて行われた国際ワークショップにて研究報告を行い、その内容は論文として発表した。
(3)寛政~文化期の皇位継承過程について検討し、(ⅰ)当該期に後桜町上皇・中宮欣子内親王の強い影響力の下で「中御門系」血統の維持が目指され、それにより天皇家内部で発生した諸問題が皇位継承に影響を与えていたこと、(ⅱ)それを断念した文政期以降に光格天皇が鷹司家との血統面での接近を強めることを明らかにした。以上は日本史研究会・大阪歴史学会合同近世史部会にて研究報告を行い、論文として投稿中である。
(4)文政~弘化期の新清和院の地位・権能について、皇位継承への影響、天皇生母の格式をめぐる問題を中心に検討した。以上はさらに分析を進め、次年度口頭報告を行う予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J20379
ID情報
  • 課題番号 : 19J20379
  • 体系的課題番号 : JP19J20379