共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

コムギ7B染色体新規QTLsによる出穂期 Fine-tuningの育種基盤の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K05566
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

パンコムギ7B染色体短腕のVRN-B3座を含む領域に、Chinese Springの持つアレルと比較して早生アレル(QHt-7B-Zen: ゼンコウジコムギ由来)と晩生アレル(QHt-7B-Ru: スペルトコムギ系統st. Rumania由来)を持つ出穂性QTLを同定した。これらのアレルを用いることで出穂を3~4日早生または晩生へFine-tuning が可能である。塩基配列比較により、QHt-7B-Zen とQHt-7B-RuはVRN-B3座の既知のアレル変異では説明できなかったことから、VRN-B3座の新たなアレルまたは連鎖する別の遺伝子であると考えられた。本研究ではこれら二つのQTLに着目して、コムギ出穂期のFine-tuning の育種基盤を確立することを目的とする。
QHt-7B-Zen とQHt-7B-Ru について、BC6F2から得られた組換え体を用いて、マーカーの作出とラフマッピングを進めた。現在までQTL領域よりセントロメア側にQHt-7B-Zen とQHt-7B-Ruのマッピングに利用可能なマーカーをそれぞれ1個ずつ作出でき、候補領域を狭めることができた。また分離集団から新たな組換え体の選抜を進めた。育種における有用性を検証するため、準同質遺伝子系統(NILs)を用いてと岡山の秋播き栽培条件下で出穂日を調査したところ、帯広での春播き栽培条件の結果と異なり、CS、CS(QHt-7B-Zen)およびCS(Hope7B)間では有意差が認められず、CS(QHt-7B-Ru)が他の系統に比べ有意に出穂が遅くなるという結果となった。
北海道春播きコムギ品種「はるきらり」を背景とするNILsの育成を目的として、CSを含む4種のNILs(染色体置換系統)から7B染色体短腕領域の戻し交雑による導入を進めている。現在B3F1個体を育成中である。

ID情報
  • 課題番号 : 18K05566