1995年 - 1995年
音声知覚における大脳の左右差:鳥類の歌システムをモデルとした研究
文部科学省 科学研究費補助金(奨励研究(A)) 奨励研究(A)
ヒトでは音声の産出と知覚に関して大脳の左半球が優位である。申請者のこれまでの研究で、鳴鳥類の一種であるジュウシマツでは、音声の産出において大脳の左半球が優位であることがわかっている。今回申請した研究では、知覚における大脳の優位半球を特定し、それが種に特有な音声に限るのかどうか、生物学的に無意味な音の知覚にも脳の左右差があるのかどうかを検討した。
実験にはオスのジュウシマツ4羽を使った。まず、これらの被検体から「地鳴き」と「歌」とを録音し、その後、鳥類大脳における音声産出の最高中枢であるHVCの左右のどちらかを破壊した。この際、被検体を脳定位固定装置で3次元的に定位し、HVCの3次元座標にもとづきラジオ周波数を放射する電極によりHVCとその周辺の組織を熱電気破壊した。回復をまって、オペラント条件付けによりGO/NOGOパラダイムで音声を弁別するように被験体を訓練した。弁別訓練に用いた音声刺激は、3kHz、200ミリ砂の純音と、同じ長さの白色雑音である。これと同時に、定期的に音声を録音し、歌の産出への影響も調べた。
歌の産出に関しては、左のHVCを破壊された個体では歌の構成と音声構造が大きく変化し、ノイズ状の歌に変化してしまった。右のHVCを破壊された個体では手術後しばらく歌が変化したが、変化の度合は左の場合に比べ軽微であった。この結果は、申請者の先行研究と一致する。人工音声の弁...
実験にはオスのジュウシマツ4羽を使った。まず、これらの被検体から「地鳴き」と「歌」とを録音し、その後、鳥類大脳における音声産出の最高中枢であるHVCの左右のどちらかを破壊した。この際、被検体を脳定位固定装置で3次元的に定位し、HVCの3次元座標にもとづきラジオ周波数を放射する電極によりHVCとその周辺の組織を熱電気破壊した。回復をまって、オペラント条件付けによりGO/NOGOパラダイムで音声を弁別するように被験体を訓練した。弁別訓練に用いた音声刺激は、3kHz、200ミリ砂の純音と、同じ長さの白色雑音である。これと同時に、定期的に音声を録音し、歌の産出への影響も調べた。
歌の産出に関しては、左のHVCを破壊された個体では歌の構成と音声構造が大きく変化し、ノイズ状の歌に変化してしまった。右のHVCを破壊された個体では手術後しばらく歌が変化したが、変化の度合は左の場合に比べ軽微であった。この結果は、申請者の先行研究と一致する。人工音声の弁...
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- ID情報
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- 課題番号 : 07710044
- 体系的課題番号 : JP07710044