1997年 - 2001年
心の発達:概念発達の機構
文部科学省 科学研究費補助金(重点領域研究, 特定領域研究(A)) 重点領域研究, 特定領域研究(A)
幼児の素朴理論の獲得と改定を扱うサブグループは、領域(素朴物理学、生物学、心理学、社会学)ごとの枠組理論の暫定的な定式化、それにもとづく課題の構成・選定、年齢の異なる幼児への課題の実施と反応の分析を行った。素朴物理学では、ヒトにおいて重力の直観(物は真下に落下する)がきわめて強いために、2、3才に到ってもチューブ課題などに正反応しえないこと、さらにずっと後の年令でも移動中の物体(例えば飛行機)からの落下の軌跡を誤って判断することなど、乳幼児期をつなぐ知見が得られた。素朴生物学では、幼児が動物の行動とその結果をヒトのそれを基底として理解、記憶するらしいこと、身体現象に対して生気論的な因果的説明を自発的に構成でき、摂食により取り入れた力が病気への感染を防いだり、寿命をのばしたり、けがさえも直すことがあると考えていること、生物と複雑な人工物(自動的に作用するようにみえる人工物)をその内部過程が異なるという観点で区別し得ることなどが明らかになった。素朴心理学に関しては、幼児がすでに二つの心的状態(欲求と意図)を区別しうること、素朴社会学では物と交換にお金を受け取るという商業の仕組みをひとまず理解しているが同時にさまざまな誤概念を示すことなどが明らかになった。素朴理論は基本的には領域固有の発達を示すが、異なる領域に関する素朴理論が、相互作用する場合のあることも見いだされた。比較認知のサ...
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- 課題番号 : 09207105
- 体系的課題番号 : JP09207105