共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2011年

大質量星形成 : 輻射圧を克服する質量降着メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
09J57031
体系的課題番号
JP09J57031
配分額
(総額)
2,100,000円
(直接経費)
2,100,000円

宇宙には太陽よりも遥かに重たい恒星「大質量星」が存在する。大質量星は光による強力なエネルギー放出や超新星爆発によって周りの宇宙空間の進化へ多大な影響を与える非常に重要な天体である。しかし、その重要な大質量星の形成過程には多くの謎がまだ残っている。大質量星形成過程を明らかにすることは天文学における最も重要な課題のひとつと言える。私は大質量星形成過程を明らかにするため「輻射フィードバック」に関して理論的な研究を進めた。
これまでの大質量星形成に関する理論研究は、広い形成領域に注目したグローバル計算が盛んに行われてきた(Krumholz et al. 2009, Kuiper et al. 2010等)。これらの弱点として「空間解像度が低い」ことが上げられる。そこで本研究では空間解像度の高いローカル計算によって物理過程を解明することをアドバンテージとしている。
特に2つの輻射フィードバック過程について研究を行った。まず1つ目のフィードバックとして「輻射圧」に関する論文を投稿論文にまとめ掲載した(Tanaka & Nakamoto 2011)。これまで大質量星形成を阻害すると考えられていた輻射圧は、降着円盤の自己遮蔽効果によって克服され、大質量星形成は阻害されないということを明らかにした。
次に2つ目の「光電離」という現象に関して研究を進めている。これまで注目されていなかったフィードバック現象であるが、私の数値計算によって大質量星の形成を十分に阻害する能力があることが分かってきた。現在、この内容に関して投稿論文にまとめている。
また現在は私がこれまでに構築した理論モデルを観測的に検証するため、Jonathan C. Tan准教授(フロリダ大学)のグループと協力して観測比較用のモデル構築・計算を初めている。さらに私の理論モデルは、ビックバン後の宇宙で最初に誕生した初代星の形成過程の解明にも応用可能ことが分かってきた。そこで大向一行准教授(京都大学)、細川隆史博士(ジェット推進研究所)と協力し、宇宙初期から現代にいたる星形成を理解するための一般的なモデルの構築の体勢を整えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09J57031
ID情報
  • 課題番号 : 09J57031
  • 体系的課題番号 : JP09J57031