2021年8月
踵骨骨折変形癒合に対して骨切り術による変形矯正を行った1例
日本足の外科学会雑誌
- 巻
- 42
- 号
- 1
- 開始ページ
- 271
- 終了ページ
- 274
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本足の外科学会
変形癒合をきたした症例に対する後距踵関節面を含む骨切り術を経験した。症例は74歳の女性で、近医で左踵骨骨折の保存的治療を受けたが疼痛が残存し、受傷後6ヵ月で当科を受診した。初診時、距骨下関節周囲の疼痛を認め、後距踵関節外側部の陥没を認めた。骨癒合の状態や年齢を考慮し、当初は関節固定術を検討したが、患者はテニスの愛好家で可動性を残す方法を強く希望したため、変形癒合部での骨切り術を選択した。手術はL字状皮切で踵骨外側面を広く展開し、ポインティングデバイスを使用して骨折面に沿ってKirschner鋼線を刺入した。これをガイドとして関節に至る骨切りを行い、解剖学的な整復位が獲得でき、良好な可動性が保たれた。踵骨骨折後の変形癒合に対する変形癒合部での骨切り術の報告は少数しかないが、術後には良好な成績が得られている。本症例でも最終的に関節固定術を回避でき、問題なくテニスに復帰できたため、患者の満足度は高かった。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0916-7927
- 医中誌Web ID : 2021321073