共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2018年3月

血清NMRデータを用いた新たなアルツハイマー病診断法の開発

文部科学省  科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)  
  • 山崎 峰雄

配分額
(総額)
3,510,000円
(直接経費)
2,700,000円
(間接経費)
810,000円
資金種別
競争的資金

本研究の目的は、患者血清を用いて、我々が独自に開発した「核磁気共鳴(NMR)計測とパターン認識によるデータ解析」を行うことにより、アルツハイマー病(AD)患者と、認知正常例および軽度認知障害例との識別が可能か否かを検討し、将来的には、これまでに無い「ADの早期診断法」の開発を目指すものである。
平成28年度は、AD患者と非AD患者を識別できるか検討する目的で以下の研究を行った。
日本医科大学付属病院、日本医科大学千葉北総病院および京都大学医学部附属病院にて、倫理委員会での承認のもと、AD患者と非AD患者の血清を採取した。平成27年度は、110症例(日本医科大学付属病院36、日本医科大学千葉北総病院28、京都大学医学部附属病院46)の血清を採取し、プロトンNMR計測を行ったが、平成28年度も引き続き112症例(日本医科大学千葉北総病院92、京都大学医学部附属病院20)の血清採取を行った。同患者からは、通常行われている血液生化学検査データ、画像所見、病期診断、病理組織診断、臨床経過などの臨床情報も収集し、データ解析の際に検体ごとの臨床情報を振り返ることができるようデータベース化した。NMR計測に際しては、本情報を連結不可能な匿名化資料とした。平成28年度は、検体の前処理および測定の試料量など測定用試料の調整方法に改良を加え、平成27年度血清検体64症例(日本医科大学付属病院36、日本医科大学千葉北総病院28)を再測定した。また、平成28年度は、NMRデータ解析方法にも改良を加え、平成27年度血清検体49症例(日本医科大学付属病院27、日本医科大学千葉北総病院22)を解析した。49症例のNMR信号データを、平成28年度に開発した手法で処理し、パターン認識によるデータ解析(PLS-DA法によるクラス分類)を行ったところ、スコアプロット上で、AD患者と非AD患者はクラスター化し、両者の識別が可能であることを示す結果を得ることができた。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15K15343/