2019年
Hoehn&Yahr重症度分類Ⅲ・Ⅳのパーキンソン病患者に対する短期入院集中リハビリテーションにおける介入効果
理学療法学Supplement
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 46S1
- 号
- 開始ページ
- E-157_2
- 終了ページ
- E-157_2
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14900/cjpt.46s1.e-157_2
- 出版者・発行元
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
【はじめに】
近年、パーキンソン病(Parkinson’s Disease:PD)患者に対する短期入院集中リハビリテーション(Intensive inpatient rehabilitation treatment:IIRT)の介入報告がなされており、その有用性について提唱されている。IIRTにより歩行やバランス能力の改善、疾患の進行を遅らせるなど様々な報告がある。しかしそれらの報告は比較的発症早期のPD患者を対象にしたものが多い。今回Hoehn&Yahr 重症度分類(H&Y分類)Ⅲ・ⅣのPD患者を対象にIIRTの介入効果を検討した。
【方法】
本研究は後方視的研究である。当院へIIRT目的で入院したH&Y分類Ⅲ・ⅣのPD患者を対象とした。除外基準は①認知機能低下を呈するもの(MMSE≦23点)、②入院中に服薬調整が行われたもの、③脳深部刺激療法を実施したもの、④補装具を使用しても歩行不可のものとした。IIRTは理学療法、作業療法、および言語聴覚療法にて構成され、それぞれ約1時間/日の介入を約2週間実施した。評価項目は①等尺性膝伸展筋力(アニマ社製 μTas F-1)、②シート式下肢加重計(アニマ社製 ウォークWay MW-1000)を使用した歩行評価(項目:ストライド長、歩幅、歩行速度)、③6 Minutes Waking Test(6MWT)、④快適また努力下でのTimed Up and Go test、⑤Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS) partⅡ(日常生活動作) partⅢ(運動機能検査)、⑥Barthel Index(BI)。 統計解析にはSPSS® ver.25を使用した。正規性の検定はShapiro-Wilk検定、介入前後の比較はWilcoxon検定と対応のあるt検定を用いて行った。
【結果】
対象者は男性6名、女性7名の計13名(年齢:71.9±10.1歳、罹病期間:8.6±5.1年、H&Y分類Ⅲ/Ⅳ:6/7名)。全員が有害事象なくIIRTのプログラムを完遂した。IIRT前後で有意な改善を認めた評価項目は6MWT(初期:192.0±97.3m、最終:252.0±94.4m、p=0.002)とUPDRS partⅡ(初期:17.8±5.4、最終:15.2±5.6、p=0.003)・Ⅲ(初期:30.3±7.5、最終:26.1±9.2、p=0.011)、BI(初期:75.6±22.6 最終:81.6±9.2、p=0.007)であった。筋力やその他の歩行能力はIIRT前後で有意差は認めなかったがいずれも改善傾向であった。
【考察】
今回、H&Y分類Ⅲ・Ⅳの患者を対象にIIRTの介入効果を検討した。Frazzittaらより、PD患者に対する運動療法は神経保護作用や回復作用をもたらし、疾患の進行を緩徐にする可能性があると報告されている。本結果から発症早期PD患者だけでなく、より症状が進行したH&Y分類Ⅲ・Ⅳの患者に対するIIRTも同様に有用性がある可能性が示唆された。
本研究の限界は対象者数が少ないこと、対照群を設定していないためIIRTが他の療法と比べて有意性を示せないこと、また、重症度や患者が有する運動症状に応じて運動内容を調整したため全員が統一した運動プログラムを行っていないことが挙げられる。現状ではPD患者に対するIIRTには確立したプロトコールが無いため、これらは検討課題として挙げられる。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り実施した。
近年、パーキンソン病(Parkinson’s Disease:PD)患者に対する短期入院集中リハビリテーション(Intensive inpatient rehabilitation treatment:IIRT)の介入報告がなされており、その有用性について提唱されている。IIRTにより歩行やバランス能力の改善、疾患の進行を遅らせるなど様々な報告がある。しかしそれらの報告は比較的発症早期のPD患者を対象にしたものが多い。今回Hoehn&Yahr 重症度分類(H&Y分類)Ⅲ・ⅣのPD患者を対象にIIRTの介入効果を検討した。
【方法】
本研究は後方視的研究である。当院へIIRT目的で入院したH&Y分類Ⅲ・ⅣのPD患者を対象とした。除外基準は①認知機能低下を呈するもの(MMSE≦23点)、②入院中に服薬調整が行われたもの、③脳深部刺激療法を実施したもの、④補装具を使用しても歩行不可のものとした。IIRTは理学療法、作業療法、および言語聴覚療法にて構成され、それぞれ約1時間/日の介入を約2週間実施した。評価項目は①等尺性膝伸展筋力(アニマ社製 μTas F-1)、②シート式下肢加重計(アニマ社製 ウォークWay MW-1000)を使用した歩行評価(項目:ストライド長、歩幅、歩行速度)、③6 Minutes Waking Test(6MWT)、④快適また努力下でのTimed Up and Go test、⑤Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS) partⅡ(日常生活動作) partⅢ(運動機能検査)、⑥Barthel Index(BI)。 統計解析にはSPSS® ver.25を使用した。正規性の検定はShapiro-Wilk検定、介入前後の比較はWilcoxon検定と対応のあるt検定を用いて行った。
【結果】
対象者は男性6名、女性7名の計13名(年齢:71.9±10.1歳、罹病期間:8.6±5.1年、H&Y分類Ⅲ/Ⅳ:6/7名)。全員が有害事象なくIIRTのプログラムを完遂した。IIRT前後で有意な改善を認めた評価項目は6MWT(初期:192.0±97.3m、最終:252.0±94.4m、p=0.002)とUPDRS partⅡ(初期:17.8±5.4、最終:15.2±5.6、p=0.003)・Ⅲ(初期:30.3±7.5、最終:26.1±9.2、p=0.011)、BI(初期:75.6±22.6 最終:81.6±9.2、p=0.007)であった。筋力やその他の歩行能力はIIRT前後で有意差は認めなかったがいずれも改善傾向であった。
【考察】
今回、H&Y分類Ⅲ・Ⅳの患者を対象にIIRTの介入効果を検討した。Frazzittaらより、PD患者に対する運動療法は神経保護作用や回復作用をもたらし、疾患の進行を緩徐にする可能性があると報告されている。本結果から発症早期PD患者だけでなく、より症状が進行したH&Y分類Ⅲ・Ⅳの患者に対するIIRTも同様に有用性がある可能性が示唆された。
本研究の限界は対象者数が少ないこと、対照群を設定していないためIIRTが他の療法と比べて有意性を示せないこと、また、重症度や患者が有する運動症状に応じて運動内容を調整したため全員が統一した運動プログラムを行っていないことが挙げられる。現状ではPD患者に対するIIRTには確立したプロトコールが無いため、これらは検討課題として挙げられる。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り実施した。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.14900/cjpt.46s1.e-157_2
- CiNii Articles ID : 130007692990
- CiNii Research ID : 1390845713087543680