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2011年11月

多発性骨髄腫の寛解8年後、突然の無尿から維持血液透析に至った骨髄腫腎の一例

新潟県立新発田病院医誌
  • 泉田 侑恵
  • 本間 則行
  • 酒巻 裕一
  • 黒羽 高志
  • 関 義信
  • 吉田 一浩
  • 伊藤 由美
  • 大澤 豊
  • 今井 直史
  • 上野 光博
  • 成田 一衛
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17
1
開始ページ
5
終了ページ
7
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟県立新発田病院

症例は56歳女性。8年前に腰痛、IgG 5.0g/dl、IgG-κM蛋白、Cre 4.51mg/dl、尿蛋白(2+)から多発性骨髄腫(MM)、Durie & Salmon stageIIIBと診断。化学療法で寛解しCre 0.42mg/dl、尿蛋白(-)で退院。3年後の骨髄穿刺で完全寛解(CR)判定。IgG 1.6〜2.0g/dl、Cre 0.6〜0.7mg/dl、8年後、IgG 2.6g/dl、尿蛋白(+)を認めたがCre 0.74mg/dl。1ヵ月半後、水様下痢、感冒様症状あり非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)を内服、2日後、無尿のため当院受診し7kgの体重増加、Cre 5.87mg/dlから急性腎不全と診断、血液透析に導入された。腎生検では、10個中4個が全節性硬化糸球体であった。尿細管腔内にmyeloma castが多数存在し、骨髄腫腎と診断。骨髄穿刺で多発性骨髄腫、再燃と診断された。血液内科でdexamethasone、bortezomib療法を開始後、自尿は増加したが、Creは正常化しなかった。MMの29%は診断時に腎不全をきたしているが、その58%は1年以内にCreは正常化する。しかし、本例は寛解8年後に骨髄腫腎・急性腎不全にて再発し、新規治療法で原病はコントロールされたが維持透析を要した。文献的考察を加え報告する。(著者抄録)

ID情報
  • 医中誌Web ID : 2012136467

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