2021年4月 - 2025年3月
『魂について』を核とするアリストテレス認識論の再構成
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
2021年度(1年目)は、アリストテレス『魂について』の「感覚」概念について、テクストベースの研究を行った。結果として、先行研究がその役割を等閑視しがちな「付帯的感覚」こそ、彼の認識論を再構成するための基礎となりえることが明らかとなった。アリストテレスにとって感覚とは感覚対象の「形相を受容する」ものである。しかし、固有感覚や共通感覚は、認識論の最終的な目的の1つであると考えられる学問的知識が扱うような対象を感覚対象としない。それゆえ、アリストテレス認識論の基礎に感覚が存在するのであれば、それは固有感覚や共通感覚が対象としないものの形相を受容しうる付帯的感覚でなければならないだろう。
また、研究代表者が本研究開始前に出版した『アリストテレスの知識論──『分析論後書』の統一的解釈の試み』(九州大学出版会、2020年)への批判的書評7本への応答論文を執筆することによって、アリストテレスの認識論はその知識論という枠組みの中で前提されている理論であることの確信を得られた。したがって、『分析論後書』の知識論と『魂について』の認識論の比較考察を今後も行っていかねばならない。
さらに、アリストテレスの認識論および知識論を相対化して理解するという目的のもと、プラトンの『プロタゴラス』における教養概念の考察を試みた。結果として、この対話篇のプラトンは、教養ある「態度」こそが学問的(専門的)知識を獲得するための重要なファクターであると理解していることが確認された。それゆえ、プラトンの思想を批判的に受容することで自身の哲学を構築していったアリストテレスの認識論を十全に理解するためには、彼の教養についての見解を参照する必要があることも予想される。
また、研究代表者が本研究開始前に出版した『アリストテレスの知識論──『分析論後書』の統一的解釈の試み』(九州大学出版会、2020年)への批判的書評7本への応答論文を執筆することによって、アリストテレスの認識論はその知識論という枠組みの中で前提されている理論であることの確信を得られた。したがって、『分析論後書』の知識論と『魂について』の認識論の比較考察を今後も行っていかねばならない。
さらに、アリストテレスの認識論および知識論を相対化して理解するという目的のもと、プラトンの『プロタゴラス』における教養概念の考察を試みた。結果として、この対話篇のプラトンは、教養ある「態度」こそが学問的(専門的)知識を獲得するための重要なファクターであると理解していることが確認された。それゆえ、プラトンの思想を批判的に受容することで自身の哲学を構築していったアリストテレスの認識論を十全に理解するためには、彼の教養についての見解を参照する必要があることも予想される。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K12837
- 体系的課題番号 : JP21K12837
この研究課題の成果一覧
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論文
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西日本哲学年報 31 1-18 2023年10月 査読有り
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Japan Studies in Classical Antiquity 5 33-53 2023年3月 査読有り
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九州大学哲学会『哲学論文集』 58 17-35 2022年9月 査読有り
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西日本哲学年報 29 1-19 2021年10月5日 査読有り
MISC
2-
国際哲学研究 11 43-55 2022年2月 招待有り
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モラリア 28 45-64 2021年12月 招待有り
講演・口頭発表等
3-
瀬戸内哲学研究会オンラインワークショップ:古代ギリシアの認識論とその展開(「『魂について』を核とするアリストテレス認識論の再構成」(研究代表者: 酒井健太朗、課題番号: 21K12837)主催) 2024年3月3日
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西日本哲学会 2022年12月10日
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Setouchi Philosophy Forum Online Workshop: Perception, Impression, and Knowledge in Ancient Philosophy 2022年2月19日 若手研究「『魂について』を核とするアリストテレス認識論の再構成」 (研究代表者: 酒井健太朗、課題番号: 21K12837)・基盤研究(B)「倫理的理由の分断と崩壊に関する問題領域を横断した検討による社会的議論の再生」(研究代表者:神崎宣次、課題番号:20H01182)(共催) 招待有り