共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

『魂について』を核とするアリストテレス認識論の再構成

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K12837
体系的課題番号
JP21K12837
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

2021年度(1年目)は、アリストテレス『魂について』の「感覚」概念について、テクストベースの研究を行った。結果として、先行研究がその役割を等閑視しがちな「付帯的感覚」こそ、彼の認識論を再構成するための基礎となりえることが明らかとなった。アリストテレスにとって感覚とは感覚対象の「形相を受容する」ものである。しかし、固有感覚や共通感覚は、認識論の最終的な目的の1つであると考えられる学問的知識が扱うような対象を感覚対象としない。それゆえ、アリストテレス認識論の基礎に感覚が存在するのであれば、それは固有感覚や共通感覚が対象としないものの形相を受容しうる付帯的感覚でなければならないだろう。
また、研究代表者が本研究開始前に出版した『アリストテレスの知識論──『分析論後書』の統一的解釈の試み』(九州大学出版会、2020年)への批判的書評7本への応答論文を執筆することによって、アリストテレスの認識論はその知識論という枠組みの中で前提されている理論であることの確信を得られた。したがって、『分析論後書』の知識論と『魂について』の認識論の比較考察を今後も行っていかねばならない。
さらに、アリストテレスの認識論および知識論を相対化して理解するという目的のもと、プラトンの『プロタゴラス』における教養概念の考察を試みた。結果として、この対話篇のプラトンは、教養ある「態度」こそが学問的(専門的)知識を獲得するための重要なファクターであると理解していることが確認された。それゆえ、プラトンの思想を批判的に受容することで自身の哲学を構築していったアリストテレスの認識論を十全に理解するためには、彼の教養についての見解を参照する必要があることも予想される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K12837
ID情報
  • 課題番号 : 21K12837
  • 体系的課題番号 : JP21K12837

この研究課題の成果一覧

論文

  4

講演・口頭発表等

  3