共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年6月 - 2020年3月

寄生植物による維管束情報ハイジャック機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
15H05959
配分額
(総額)
85,410,000円
(直接経費)
65,700,000円
(間接経費)
19,710,000円

寄生植物は穀物を含むさまざまな作物に寄生し、収穫量を大幅に減らす。特にアフリカや地中海沿岸での農業への被害は深刻であるが、寄生植物がどのように寄生するのかを理解することは、こうした被害への対策を講じるうえで重要なステップと考えられる。寄生植物は吸器と呼ばれる侵入器官を形成し、この器官を介して宿主組織に侵入、維管束を連結することで宿主との連絡を確立し、この連絡を介して水や栄養を宿主から奪う。
これまでの研究で、宿主のリグニンが、寄生に非常に重要であることがわかってきた。このことから、寄生植物ストライガの宿主であるイネの感染時におけるリグニンのメタボローム解析を行った。ストライガ耐性品種では、ストライガ2感染すると多くのリグニン代謝物が特異的に蓄積することを見出した。最も明らかなのは、相互作用部位周辺での、リグニン、主にp-ヒドロキシフェニル(H)、グアイアシル(G)、およびシリンギル(S)芳香族単位からなるフェニルプロパノイドポリマーの沈着の増加であった。また、リグニン蓄積は、フェニルプロパノイド経路における酵素をコードする遺伝子の発現の誘導を伴った。さらに、リグニン組成を調節する遺伝子をノックダウンまたは過剰発現させることによって正常なリグニン組成を改変するとストライガ感染に対する感受性を増強した。これらの結果は、感染部位に沈着したリグニンの増強およびリグニンポリマーの構造的完全性の維持が、ストライガ耐性にとって極めて重要であることを証明している。

ID情報
  • 課題番号 : 15H05959